最新記事
感染症対策

中国、新型コロナのワクチン開発で先頭集団に 国・軍・民間を挙げて「戦時並み」速度

2020年7月11日(土)13時32分
ロイター

新型コロナウイルス感染症のワクチン開発競争で、中国が先頭集団を走っている。写真は2018年11月、天津のカンシノ・バイオロジクスのラボで撮影(2020年 ロイター)

新型コロナウイルス感染症のワクチン開発競争で、中国が先頭集団を走っている。シノバック・バイオテック(科興控股生物技術)が開発中のワクチンは月内に、中国で2番目、世界で3番目に第3期臨床試験(治験)へと進む予定だ。

世界のワクチン産業の中では後発組の中国だが、現在は国、軍、民間を挙げて新型コロナワクチンの開発に力を入れている。

ただ、中国には多くの障害もある。既に感染拡大阻止に成功していることで、他国に比べて国内で、感染を試す大規模な治験がやりにくくなったことがある。ほかにも治験に協力してくれるのは一握りの国だけという点がある。

また、中国は近年、基準を満たさないワクチンを発売する複数の不祥事があったため、安全性・品質基準を達成していると世界を納得させる必要もある。

とはいえ、計画経済型の開発方法は実を結んでいる。

例えば、ある国営企業は2つのワクチン開発工場を2、3カ月という戦時並みのスピードで完工させた。国有企業と軍は、従業員や兵士らに対する試験的なワクチン接種を認めている。

人民解放軍の医療調査部門も、カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)<6185.HK>などの民間企業とワクチン開発で協力している。

伝統的に西側諸国が牛耳ってきたワクチン産業だが、中国は今回、ヒトへの治験候補に挙がっている世界の新型コロナワクチン19種類のうち8種類に関与。このうちシノバックの治験と、軍およびカンシノの共同開発が先頭集団に入っている。

中国はまた、主に不活化ワクチン技術に的を絞っている。インフルエンザやはしかのワクチンに使われてきた、良く知られた技術であるため、開発に成功する確率は高いかもしれない。

対照的に、米モデルナ、独キュアバック、独ビオンテックなど複数の西側企業は、メッセンジャーRNAと呼ばれる新技術を用いている。この技術で開発された製品が規制当局の承認を得た前例はまだない。


【関連記事】
・東京都、新型コロナ新規感染は昨日を上回り243人 2日連続200人台は初の事態
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・「カザフスタンで新型コロナより深刻な肺炎が流行」と中国大使館が警告 カザフ当局は「フェイクニュース」と否定
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

主要政党の選挙公約でそろう、消費減税の中身に温度差

ワールド

衆院選、新党「中道」と国民民主で選挙区調整を期待=

ワールド

韓国で「AI基本法」施行、世界初の包括規制法 信頼

ワールド

ウクライナ和平交渉に大きな進展、争点は最後の一つに
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の核開発にらみ軍事戦略を強化
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    飛行機よりラク? ソウル〜釜山「110分」へ――韓国が…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    「怖すぎる...」モルディブで凶暴な魚の群れに「襲撃…
  • 9
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 10
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中