最新記事

コロナショック

オーストラリア経済の長期繁栄に終止符 観光・教育・移民の構造転換が新型コロナで裏目に

2020年7月4日(土)13時59分

世界金融危機にさえ耐え抜く底力を見せたオーストラリア経済も、新型コロナウイルスにはかなわなかった。過去最長を記録していた景気拡大局面は突然幕切れを迎えて深刻な景気後退(リセッション)に突入、今後回復までに相当長い道のりをたどりそうだ。写真は6月23日、シドニーで撮影(2020年 ロイター/Loren Elliott)

世界金融危機にさえ耐え抜く底力を見せたオーストラリア経済も、新型コロナウイルスにはかなわなかった。過去最長を記録していた景気拡大局面は突然幕切れを迎えて深刻な景気後退(リセッション)に突入、今後回復までに相当長い道のりをたどりそうだ。

新型コロナのパンデミック(大流行)への対処という意味では、同国は死者を100人強に抑え込んでいる点から大きな成功を収めていると言える。だが感染防止で海外との往来をストップしたため、成長をけん引してきた観光、教育、移民という「3本柱」が大打撃を被った。


オーストラリアが直近で経験したリセッションは1990年代初め。当時18歳だったフィオナ・グリンさんは、いったん音楽出版関係のアルバイトで生活をしのいだ後、正社員に転じてエンターテインメント業界で実りのある職歴を重ねることができた。

ところが今回はそうした幸運に恵まれていない。シドニーのANZスタジアムのマーケティングディレクターを4月に解雇された彼女は、借りていた家の契約を解除し、メルボルンの実家に戻らざるを得なくなったのだ。

パンデミックとともにオーストラリアが30年ぶりにリセッションに陥り、失業率が19年ぶりの高さとなる7.1%に跳ね上がったことで、生活手段を奪われたのはグリンさんをはじめ数十万人に達する。

オーストラリアは、世界的に見ればロックダウン(封鎖)をいち早く解除した国の1つに属する。解除時期も政府の想定より前倒しになった。それでも第1・四半期の成長率はマイナス0.3%に沈み、足元では新規感染者が再び増加して景気回復の前途を危うくしている。

雇用の面で特に女性が痛手を受けつつある。フルタイムの職探しをしている女性失業者はロックダウンが始まる前の2月が5.4%だったが、5月は8.3%に上昇。同じ期間の男性は4.8%から7%と上がり方が鈍い。

現在政府からの給付金を受け取っているグリンさんはロイターに「オーストラリアは幸運な国として知られているのに、今の私はとても幸運とは言えない。何か就職の機会がないか数人に打診しているけれど、まだなしのつぶてです」とうなだれた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統「26年は重要な年」、主権断固守り防衛力強

ワールド

再送トランプ氏、シカゴやLAなどから州兵撤退表明 

ビジネス

ビットコイン、2022年以来の年間下落 最高値更新

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 8
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中