最新記事

中国

中国、コロナ感染第二波を警戒

2020年4月14日(火)13時35分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

ここには書いてないが、98人の内、「黒龍江省49人(全員が黒竜江省の牡丹江)、内モンゴル35人、上海11人、天津1人、山西1人,吉林1人」となっている。

圧倒的に北に多い。つまりは、ロシアと国境を接している地域が多いことになる。

上記報道の「4」で「逆輸入感染者確定患者の4月12日における総数は867例(重症患者38例)」となっている。また「累計で、逆輸入確定患者は1378例(累計の治癒退院患者は511例)」ということは、「逆輸入感染者の入国によって中国のコロナ感染第二波が来るかもしれない」と中国が警戒するのは当然のことだろう。

そこで中国は以下に述べる緊急対応策を取り、正に「緊急出動」に着手した。

本稿では黒竜江省に絞って考察する。

中国が黒竜江省で打った緊急対応策

4月11日付けの新華網は「外に対しては輸入を、内に対しては拡散防止を――黒竜江綏芬河(すいふんか)疫病防疫第一線」という見出しで「緊急対応第一線」の様子を伝えている。中央テレビ局CCTVでも叫ぶように激しく力を入れて報道した。

それによれば3月27日から4月9日の間に中露国境にある港町綏芬河市では、ロシアから中国側に入境した者の内、151人がコロナ確定患者で、148人が無症状感染者とのこと。

黒竜江省の綏芬河市はロシアの野菜供給地区のようになっているため、ロシアからの商人がひっきりなしに渡ってくる。そこで中国政府は綏芬河の検疫を厳重に取締り、かつ全員を先ず隔離して、PCR検査と血液検査による両方の検査に合格して初めて解放される。合格しない場合は(陽性の場合は)別の(医学的監察の厳しい)隔離施設あるいは病院に送る。

入境者と接触した人は、必ず指定したホテルに宿泊し、他の人と接触しないようにする。

また綏芬河市にある人民医院は、本来コロナ患者を受け入れる病院ではないので、受け入れ設備が不十分だ。そこで、わずか「3日間」で 綏芬河市人民医院を改造し、300床を準備して、先ずは逆輸入の無症状感染者を受け入れることとした。

さらに綏芬河市のホテルは隔離宿舎として指定され防疫スタッフが保衛し、体育館も隔離点に改造され警戒線が布かれた。

また冒頭の報道の「1」にあるように4月12日の1日だけで黒竜江省には7例の非逆輸入経路の感染者がいたので、これは逆輸入感染者からの二次感染であることが考えられることから、いざ爆発的に増えた場合に備えて、すぐさま方艙医院を改造建築している。

600床の受け入れ態勢で、患者のベッドは3階から11階にあり、2階と1階は医療従事者や周辺業務従事者たちの生活空間としている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

香港取引所、東南アジア・中東企業の誘致目指す=CE

ワールド

米ミネソタ州議員射殺事件、容疑者なお逃走中 標的リ

ワールド

IEA、石油供給不足なら備蓄放出の用意 OPEC「

ワールド

金価格約2カ月ぶり高値、中東紛争激化で安全資産に逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中