最新記事

中国

中国、コロナ感染第二波を警戒

2020年4月14日(火)13時35分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

綏芬河市の臨時病院(4月13日) Huizhong Wu-REUTERS

中国でコロナ感染者の逆輸入が目立つ。詳細な現状のデータと、海外から帰国した中国人たちが持ち帰るウイルスによる第二波の到来を防ぐべく中国が取っている緊急対応策を考察する。

逆輸入コロナ感染者の最新データ

中国では今もなお、時々刻々各地のコロナ感染者数等に関するデータが更新され発表されているが、中国政府の行政機関の一つである中国衛生健康委員会は、一日に一回、その日の全国的な総数を各感染分類にわたって報道する。

4月12日の国家衛生健康委員会の発表における、「逆輸入」によるコロナ感染の最新データが注目を浴びた。

逆輸入とは、本来中国の湖北省武漢で大量発生した新型コロナウイルス肺炎患者が世界に拡散して各国でコロナ患者が大量発生しているわけだが、中国は3月10日に峠を越し、武漢を含む湖北省での感染者はほぼ毎日ゼロという状態を見せ始めた。ところが、海外における感染状況があまりに激しいものだから、今度は海外にいる中国人が逆に中国本土に戻ろうとして、その時にウイルスを運んで入国しようとする。この現象を「ウイルスの逆輸入」と中国では表現している。

以下、発表の内容をご紹介する。いずれも4月12日「1日間」のデータである。

1.31の省・自治区・直轄市と新疆生産建設兵団の報告によれば、4月12日(1日間)の新規感染者が108例で、その内98例が国外からの逆輸入病例で、10例が本土(中国大陸内)の病例(黒竜江省7例、広東省3例)である。

2.新規死亡者数は2例(湖北省2例)で、新規疑似感染者は6例(いずれも海外逆輸入で黒竜江省4例、上海2例)である。  

3.4月12日に退院した新規退院者数は88例、当日、医学観察が解除された濃厚接触者数は1092人、同じく当日、重症から脱した患者の数は18例である。

4.逆輸入感染者確定患者の現時点における総数は867例(重症患者38例)で、現時点での疑似感染者数は総計で72例である。累計では逆輸入確定患者は1378例、累計の治癒退院患者は511例。逆輸入の中の死亡例はゼロである。

5.4月12日時点での全国の確定患者数は1156例(そのうち重症病例121例)で、4月12日までの累積治癒退院者数は7万7663例、累積死亡者数は3341例、累積確定患者数は8万2160例、現在の疑似感染者数は72例、濃厚感染者の追跡は累計で71万9908人、今もなお隔離施設で観察中の濃厚感染者数は9655人である。

6.全国の新規無症状感染者数は(4月12日だけで)61例、そのうち逆輸入は12例。また当日無症状から確定患者と認定されて入院した病例は28例(全て逆輸入感染者)で、当日医学的監察を解除された無症状感染者は55例(逆輸入は9例)。未だ無症状感染者として隔離され医学的観察を継続しているのが4月12日時点で合計1064例(内、逆輸入307例)。

データから何が見えるか

中国の全人口が14億人であるとは言え、一日の新規患者数が108例で、その内98例が国外からの逆輸入病例であるというのは、かなり大きな要素である。91%が逆輸入だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減

ビジネス

米KKRの1─3月期、20%増益 手数料収入が堅調

ビジネス

米フォード、4月の米国販売は16%増 EVは急減

ワールド

米イラン核協議、3日予定の4回目会合延期 「米次第
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中