最新記事

感染症対策

パンデミック最前線 命の不安抱えつつデリバリーするアマゾン配達員

2020年4月13日(月)18時36分

米カリフォルニア州ダブリンで6日、注文品を配達するサビュラオさん(2020年 ロイター/Shannon Stapleton)

エクセルソ・サビュラオさん(35)は米カリフォルニア州で、ネット通販大手・アマゾンの生鮮品配達に従事し、両親の生活を支えている。店舗や住宅でひっきりなしに人と接触するため、新型コロナウイルスに感染するのではないかと恐れる毎日だ。

「神様を信じるしかない。この仕事をしている間は、何とか助けて下さいと。感染したら最後、家に持ち帰って両親に死を宣告するようなものだ」──。

米国民のほぼ全員が政府から自宅待機を命じられている中で、サビュラオさんのように請負労働者としてアマゾンの食品・日用品配達に携わっている人々も無数にいる。だが、彼やその他のドライバーは、パンデミック(感染症の世界的流行)の最前線で働いているにもかかわらず、アマゾンから賃金の上乗せや感染への防護措置を提供されず、安くこき使われている気持ちだという。

4月6日朝、サビュラオさんは約1時間かけてサンフランシスコのベイエリアにある都市・ダブリンに通い、アマゾン傘下の自然・有機食品小売り大手ホール・フーズから、注文のあった生鮮品を集荷した。

サビュラオさんは、ストックトンで両親と同居している。親との同居はフィリピン系米国人の家庭では珍しいことではないが、母は3年前に軽い脳卒中を患い、小売り大手ウォルマートで働いていた父は、新型コロナ絡みで一時帰休に入っている。

白いマスク姿のサビュラオさんが、アマゾンの有料会員制度「プライム」のロゴが入った茶色い紙袋でいっぱいのショッピングカート2台を引いて建物から出てきた。請負労働者が自家用車で配送するプログラム「アマゾン・フレックス」用の駐車場で、車のトランクや後部座席に素早く荷物を積み込んでいく。

シフトの中で最も心をかき乱される時間が、これで終わった。一番恐怖を感じるのは、ホール・フーズの発送準備品コーナーで、注文の品をピックアップする作業だとサビュラオさんは話す。

保健当局は、人と人との間隔を1.8メートル以上保つよう推奨している。しかし、ここではドライバー同士が近接して並んで働いている。他のドライバーたちが開けた冷蔵庫を自分も開く必要があるし、そのたびに触る所を消毒用ティッシュで拭き取る時間はないのが普通だ。

「気がおかしくなりそうだ。他の人々が既に触れたものを扱っているんだ。彼らが咳をしていた可能性だってある。分かったものではない」と、その恐怖を語る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中