パンデミック最前線 命の不安抱えつつデリバリーするアマゾン配達員
配達先での顧客との接触は最低限に
アマゾンは、ダブリン市のホール・フーズ店舗やその付属施設には手袋、マスク、消毒用品を用意してあると説明。「われわれは、チームの健康と安全維持に責任を持って取り組んでいる」とし、スタッフには社会的距離を取るよう求め、配達作業員には顧客とさらに大きな距離を保つよう告げているとした。
マスクを外したサビュラオさんは、車を発進した。目的地近くに着くと、スマートフォンで荷物のコードをスキャンし、個人宅に届ける。
顧客との接触は最小限にとどめるよう求められている。アマゾンのアプリを使えば、顧客に商品を置いてほしい場所を尋ねるテキストメッセージを送り、到着予想時間を知らせることができる。
それでも、この日訪問した21件の配達先全てで接触を避けるということはできなかった。ある女性はサビュラオさんが着いた時に私道まで出ていたため、彼女の車のそばに生鮮品を置くことになった。別の家庭では顧客がドアを開け、目の前でしゃがんで注文の品をふき始めた。
こうした仕事が、報いられることもある。振り返ればパンデミックが始まった当初、ある顧客がチップを弾んでくれて、30分足らずの配達をした場合の収入が10ドルから83ドルに跳ね上がったこともあった。
6日に7時間働いて稼いだのは289ドル。半分以上がチップだ。普通は7時間で200ドルほどが稼ぎの相場だ、とサビュラオさんは言う。
しかし、サビュラオさんは、賃金が徐々に変わっているのを感じている。今ではそんな上乗せをもらうのもだんだん珍しくなり、前ほど稼げなくなった上、私物の消毒用ティッシュも底を突きそうで怖い。アマゾンが請負労働者に消毒用品を支給してくれればいいのに、と思う。
「私たちは荷物の配達によって、文字通り命を危険にさらしている」と語りつつ「それでも仕事をやめるわけにはいかない」という。「食べていかなくちゃならない。そういうことだ」と──。
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