最新記事

感染症対策

予防対策の優等生シンガポールでも感染増 新型コロナウイルス封じ込めの困難さ

2020年4月6日(月)08時27分

シンガポールはこれまでは、新型コロナウイルスとの闘いで世界の模範と称賛されてきた。写真は2日、人気のないマーライオン公園で撮影(2020年 ロイター/Edgar Su)

シンガポールはこれまでは、新型コロナウイルスとの闘いで世界の模範と称賛されてきた。しかしこの小さな都市国家で今、お得意の徹底した策をもってしても感染拡大に歯止めがかからない。疫学専門家は、世界が新型コロナ封じ込めに取り組む上で、シンガポールの例が先行きに不吉な影を落としていると懸念している。

今年1月の時点では中国以外で新型コロナの痛手が最も大きかったものの、厳格な住民監視や隔離措置などの導入が流れを食い止めるのに奏功。世界保健機関(WHO)から高く評価されるに至った。

シンガポールは他国・地域に比べて検疫がしやすい国だ。人口は570万人程度の島国で、端から端まで車で1時間もかからない。入国管理の場所も多くはないし、医療体制も堅固だ。

現状、新型コロナの死者は4人にとどまっている。ところが、封じ込め策には緊張の兆しが出てきている。感染者数は4月1日に1000人に達し、前日からの増加は74人とこれまでで最多になった。特にこの1週間で感染者が倍増して、総数は3月末で前月末に比べ10倍近くになった。国内感染が70%を占めるようになり、多くは感染者との接触が確認されない単独感染だ。

専門家によると、シンガポールですら防疫態勢が破られているという事実は、新型コロナ感染の拡大抑制の難しさを物語る。

米ミネソタ大学の感染症専門家、マイケル・オスターホルム氏は「シンガポールの方法は最善の策の一つと見なされてきた。他の諸外国に示されている今の現実は、このウイルスに反撃し、ねじ伏せたままにしておくのがいかに難しいかということにほかならない」と話す。

コンプライアンス部門のマネジャーのアービング・チャンさん(43)は、「何をすべきか、これからどうすべきかをよく考える必要がある」と警戒を口にする。

ケネス・マク保健相は今週、感染者増加が懸念のきっかけだとし、これから数週間の流行を見極めて、現行の感染防止策が機能しているのかを評価する考えを示した。

同様に厳格なコロナ対策で褒められてきた台湾も最近、外国からの感染持ち込みが増加したほか、確認できる感染源が不明な小さな感染域がいくつも出現している。

中国では当局者は帰国者による感染持ち込みに焦点を変え、無症状の感染者が流行第2波をもたらす可能性を警戒している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

モディ印首相、中国との「関係改善に尽力」 習主席と

ワールド

インドネシア大統領、訪中取りやめ 首都デモが各地に

ビジネス

中国製造業PMI、8月は5カ月連続縮小 内需さえず

ワールド

ロシア軍参謀総長、前線で攻勢主張 春以降に3500
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 5
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 6
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中