予防対策の優等生シンガポールでも感染増 新型コロナウイルス封じ込めの困難さ
眠らないコロナ
WHOはこれまで、厳しい移動や外出の制限措置を取らなくても新型コロナを抑制できる例としてシンガポールを取り上げていた。
同国は学校や飲食店、オフィスを閉鎖していない。ただ、人と人との距離を空けさせる「社会的距離」を最近導入したため、バーは休業し、11人以上の集会は禁じられた。
WHOのマレーシア、ブルネイ、シンガポール部門の責任者Ying-Ru Lo氏は2日、シンガポールの感染者数に言及。「新型コロナウイルスは不眠不休で活動している。感染力も強い」と指摘し、シンガポールも含めた世界各地で抑制努力を強化していくことが必要だと表明した。
シンガポール政府は全土封鎖のような措置の実効性は疑問視しており、対策チームを率いるローレンス・ウォン氏も「そんな魔法のような解決策はない」と語る。
しかし、同国の専門家からは、学校やオフィスの閉鎖など、これまでより厳しい措置の必要を指摘する声もある。シンガポール国立大学公衆衛生学部のテオ・イク・イン学部長は「とても率直に言って心配だ。単独感染者が増えており、地域での散発的な感染の兆候がある。そうなると我々の手に負えなくなってくる」と話した。
(John Geddie記者、Aradhana Aravindan記者)
*この記事は、2日時点の情報を基に構成されています。
【関連記事】
・新型コロナウイルス感染爆発で顕在化 「習近平vs.中国人」の危うい構造
・仏・英、新型コロナウイルス死者が過去最多 伊・スペインは拡大一服の兆し
・トランプ「米国の新型コロナウイルス死者、今後数日間で急増」
2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。