最新記事

中国

新型コロナウイルス感染爆発で顕在化 「習近平vs.中国人」の危うい構造

2020年4月5日(日)16時00分
宮崎紀秀(ジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

新型コロナウイルスをめぐり、中国当局と中国市民の間で密かに攻防が幕を開けたという=写真は3月8日の北京市街(筆者撮影)

新型コロナウイルスの蔓延に直面し、ある著名な人権活動家は、「(中国当局は)天安門事件以来の空前の社会不安と認識している」と指摘した。厳しい行動制限など国民の誰もが自国発の感染症の影響を受ける中、中国当局と市民の攻防が密かに幕を開けた。今、中国で何が起きているのか――。『習近平vs.中国人』の著者である宮崎紀秀氏に解説してもらった。

「アメリカに謝ろう」運動の始まり

「最大の過ちは、中国共産党に嘘をつくのを許し、私たちがそれに反対の立場を表明しなかったことです」

カメラを見て英語で話す若い女性。水色のマスクで顔の半分は覆われているが、2つに結った髪と意志の強そうな瞳の色から東洋人であろうと想像がつく。

「私は中国人です。だから、中国人と政府がやった悪いことのすべてに責任があります」

この映像がツイッターで出回り始めたのは3月20日頃。女性は海外に住む華僑とされる。話の内容から居住地はアメリカと思われる。

中国はその頃、初期の急激な感染拡大が一段落し、新型コロナウイルスを国内と国外で拡散させた責任をあいまいにするかのような宣伝を繰り返していた。ニュースでは、新たな感染確認者は、国内では抑えられたが、海外から流入が続いているなどといった状況が連日強調された。

中国外務省の現役報道官である趙立堅氏は、ウイルスの発生源について「アメリカ軍が武漢に持ち込んだかもしれない」などと英語でツイートした。

冒頭の女性は、ツイートした1分50秒程の映像の中で「アメリカに謝ろう」運動(#saysrytoAmerica)を始めようと呼びかけていた。

「中国ウイルスをアメリカに持ち込んだことを謝りたい」

中国ウイルス(Chinese virus)とは、新型コロナウイルスのことで、アメリカのトランプ大統領が使って、中国を激怒させた言い方だ。

彼女は、中国外務省の報道官の"主張"にも、真っ向から反対している。

「ウィーチャット(=中国のSNS)でデマを拡散させたことについて謝りたい。アメリカ軍が武漢にウイルスを持ち込んだという話は誤りです」

ツイッターには、彼女の言葉を繰り返す中国人とみられる若者たちが続いた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港当局、国泰君安を捜査 金融機関の取り締まり強化

ワールド

ホルムズ海峡の機雷除去での自衛隊展開、想定できない

ビジネス

ゴールドマン、第4四半期原油価格予想上げ ホルムズ

ワールド

米ロがフロリダで経済作業部会会合、現在のエネルギー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 8
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中