最新記事

日本経済

東京都、緊急事態宣言受け遊興・商業施設などに休業要請 協力金は1社50-100万円

2020年4月10日(金)16時12分

4月10日、東京都の小池百合子知事は、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言を受けた休業要請の対象と補償措置を公表した(2020年 ロイター/Issei Kato)

東京都の小池百合子知事は10日、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言を受けた休業要請の対象と補償措置を公表した。遊興施設や大学、商業施設など6業態・施設に対して11日から休業を要請する一方、営業自粛に協力した中小企業を対象に1社あたり50万円から100万円の補償を「協力金」として支払う。15日公表予定の都の緊急対策に盛り込む。

居酒屋は営業午後8時・酒類販売7時まで

営業休止を要請するのは遊興施設、大学・学習塾、運動遊技施設、劇場、集会・展示施設、商業施設。文教施設は、原則として施設の使用停止と催し物の開催の停止を求める。

居酒屋を含む飲食店は、営業時間を午前5時から午後8時まで、酒類の販売は午後7時までに短縮する。

インターネットカフェは休業対象となるが、寝泊りする人々に対して住居を支援、500人規模を想定し12億円を予算措置しており、必要であればさらに拡充する。

保育所、学童クラブ、介護等福祉サービスや保険医療サービスを提供する施設には、適切な感染防止対策の協力を要請する。

医療と生活必需物資販売などについては、社会生活を維持する上で必要として原則、営業継続を認める。

営業継続の可否を巡り事業者からの質問に答えるため、10日午後6時から無料通信アプリLINEによる問い合わせを始める。

他の自治体の休業支援、「国の課題」

小池都知事は安倍晋三首相が緊急事態宣言を発令した7日にも休業要請対象を公表する予定だったが、感染動向を見極めた上で発令してほしいとの国の意向を受け10日にずれ込んだ。休業補償は1社1事業所の場合50万円、複数事業所の場合は100万円を支給する。

東京都以外の自治体では、財政余力が乏しいため休業要請を行うには補償を可能とする国の支援が不可欠との声が多い。小池知事は「国全体としてどう考えるかは国の課題」と述べつつ、新型ウイルスの特措法を担担当する西村康稔経済再生相が地方特例交付金1兆円を活用して欲しいと述べていたとし、各都道府県で工夫の余地があるとの見解を示した。

小池知事は「ひっ迫する都内の医療を守るため、何としても人と人との接触を8割減らす」として協力を呼び掛け、買いだめや早急な帰省の自粛も求めた。

食料品や医薬品店の行列・混雑が感染を拡大させかねないとして、「社会的距離」の必要性をポスターで呼び掛けるという。

*内容を追加し、写真を差し替えて再送します。

(竹本能文 編集:青山敦子、田中志保)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルス、男性の死亡リスクが高い理由
・ニューヨーク感染爆発にピークアウトの兆し 強力な「人出減らし作戦」が奏功か
・気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言したウイルス映画が語ること


20200414issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月14日号(4月7日発売)は「ルポ五輪延期」特集。IOC、日本政府、東京都の「権謀術数と打算」を追う。PLUS 陸上サニブラウンの本音/デーブ・スペクター五輪斬り/「五輪特需景気」消滅?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ436ドル安、CPIや銀行決算受

ビジネス

NY外為市場=ドル急伸し148円台後半、4月以来の

ビジネス

米金利変更急がず、関税の影響は限定的な可能性=ボス

ワールド

中印ブラジル「ロシアと取引継続なら大打撃」、NAT
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中