最新記事

新型コロナウイルス

ニューヨーク感染爆発にピークアウトの兆し 強力な「人出減らし作戦」が奏功か

Cuomo Says New York Is Flattening the Coronavirus Curve.

2020年4月9日(木)16時10分
マシュー・インペリ

タイムズ・スクエアがゴーストタウンになるほどの強硬策が奏功した? Mike Segar-REUTERS

<世界最悪の新型コロナ感染爆発と戦ってきたニューヨーク州で、感染がピークアウトしたかもしれない。死者数は急増し続けているのに、その根拠とは>

ニューヨーク州民の行動のおかげで、新型コロナウイルスの感染拡大カーブが平坦化し始めた──ニューヨーク州のアンドルー・クオモ知事は4月8日の記者会見でこう語った。つまり、感染者の増加ペースに歯止めがかかったかもしれないというのだ。

「私たちは劇的な措置を講じた。ニューヨーク州は学校や事業所・店舗を一時閉鎖し、州民には外出をやめて『社会的距離』を取るよう呼びかけた。それが効果を上げ始めた」と、クオモは州民に語りかけた。

「(感染者増加の)カーブは平坦化している。再度それを確認できた。私たちが厳しい制限に耐えたからだ。ただし、気を緩めれば、カーブはたちまち急上昇をし始めるだろう。このカーブは私たちの日々の行いと忠実に反映するのだ」

ニューヨーク州民の我慢が実った、と話すクオモ州知事


カーブの平坦化が意味するのは、感染者数がすぐに減り始めることではない。1日当たりの新たな感染者数の増え方、つまりカーブの傾斜が徐々に緩やかになっていく、ということだ。そしていずれピークに達し、その先はカーブも下向きになる。

「入院を要する患者は減っている。日々の増減だけではなく、3日間の平均を出して傾向を見ているが、ここでも減少が認められた。ここでも、平坦化が起きているということだ。(医療崩壊寸前だった)病院の収容余力もこれまでになく余裕ができ、より多くの患者を受け入れられるようになった」

死者はまだまだ増える

「引き続き最大限の努力をし、しっかりと自制しなければならない」と、クオモは強調した。

一方で、州の24時間の死者数は最多を記録した。4月6日のニューヨーク州の死者は779人に上り、クオモは「恐ろしい」状況だと述べた。だがこれは、感染カーブの平坦化という良いニュースと矛盾しない。

クオモによればこれは、人工呼吸器で命をつなぎながら長期入院していた患者が次々と寿命を迎えている結果だという。「今後も死者数は増え続けるだろう」と、クオモは述べた。「入院患者数は減り始めても、11日間、あるいは14日間、あるいは17日間も入院していた患者が亡くなっていくため、死者数は増える。それが今の状況だ」

ニューヨーク州の感染者数は今も全米最多だ。ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、州内の感染者数は累計14万人を上回り、死者数は少なくとも1万3007人に上る。

<参考記事>感染爆発のニューヨーク州知事「人工呼吸器あと6日分」
<参考記事>新型コロナと戦う米政治家が大統領候補として急浮上、サンダース抜く

20200414issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月14日号(4月7日発売)は「ルポ五輪延期」特集。IOC、日本政府、東京都の「権謀術数と打算」を追う。PLUS 陸上サニブラウンの本音/デーブ・スペクター五輪斬り/「五輪特需景気」消滅?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イーライリリーの経口肥満症薬、2型糖尿病患者で体重

ビジネス

積極利下げの用意、経済の下振れ顕在化なら=マン英中

ビジネス

スズキ、EV強化へ80億ドル投資 インドの生産体制

ワールド

米政府、防衛関連企業への出資を模索する可能性=商務
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 7
    「ありがとう」は、なぜ便利な日本語なのか?...「言…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    トランプ、ウクライナのパイプライン攻撃に激怒...和…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中