最新記事

感染症対策

WHO「日韓は政治争い回避を」 各国に新型コロナウイルス防止最優先を要請

2020年3月7日(土)11時54分

世界保健機関(WHO)は6日、世界の全ての国が新型コロナウイルス感染拡大の封じ込めを最優先課題とすべきと再表明した。テドロス事務局長。2月撮影(2020年 ロイター/Denis Balibouse)

世界保健機関(WHO)は6日、世界の全ての国が新型コロナウイルス感染拡大の封じ込めを最優先課題とすべきと再表明した。

ロイターの集計によると、世界の新型コロナウイルス感染者数は同日、累計10万人を突破した。

テドロス事務局長は「新型ウイルスは地理的に拡大しており、懸念が深まっている」と述べた。その上で「グローバル化した世界において、各国の団結が唯一の選択肢だ」とし、封じ込めに向けた世界各国の協調を促した。

緊急事態プログラム責任者のマイク・ライアン氏は、日本と韓国が互いに入国制限策を打ち出したことを巡り、日韓両国は「政治的な争い」を展開するのではなく、人命救助に尽力すべきと訴えた。

韓国政府は同日、日本人に対する査証(ビザ)免除措置を9日から停止すると発表。発行済みビザの効力も停止する。新型ウイルス感染拡大防止に向けて日本政府が韓国などからの入国者抑制策を打ち出したことへの対抗措置とみられる。

感染が深刻なイランについては「政府を挙げた対応」にシフトとしているとし、同国の取り組みを評価。「問題の深さを把握することで、一段と積極的で的を絞った監視が可能となる。それが新型ウイルス阻止に向けた措置につながることを望んでいる」と述べた。

イラン保健当局によると、新型コロナウイルス感染の死者は過去24時間で17人増え、計124人になった。感染者数も前日から1000人超増加し、4747人に達した。

また、夏が到来すれば、感染ペースが衰えるかとの質問に対しては、「異なる気候状況によって新型ウイルスがどのような行動や反応をするのか明らかになっていない。現状と同様の感染力が継続すると推測する必要がある」と回答。「インフルエンザのように夏が来れば新型ウイルスが消失するの考えは間違った期待だ」とくぎを刺した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルスは人類への警鐘──感染症拡大にはパターンがある
・ついに日本は終わった──
・イタリア、新型コロナウイルス死者41人増 感染者は4000人に迫る


20200310issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル・イランの停戦発効、トランプ氏「違反しな

ワールド

米北東部と中西部、猛暑で列車運行などに支障 体感温

ワールド

インド、対米通商交渉で国益保護を最優先=商工省高官

ワールド

EU、米との関税交渉で政策決定権放棄せず=欧州委員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 8
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 9
    「水面付近に大群」「1匹でもパニックなのに...」カ…
  • 10
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中