最新記事

2020米大統領選

トランプ再選に黄信号、株安と景気悪化で市場関係者が警告

2020年3月10日(火)09時13分

 米金融市場は、新型コロナウイルス問題に伴う景気後退懸念と原油価格急落を背景に大混乱に見舞われている。そこで投資家やアナリストは、経済の先行き悪化がトランプ大統領(中央)の再選を阻むというシナリオを織り込みつつある。写真はフロリダ州サンフォードの空港で大統領専用機から降りる同大統領(2020年 ロイター/Tom Brenner)

米金融市場は、新型コロナウイルス問題に伴う景気後退(リセッション)懸念と原油価格急落を背景に大混乱に見舞われている。そこで投資家やアナリストは、経済の先行き悪化がトランプ大統領の再選を阻むというシナリオを織り込みつつある。

9日の米国株は1日として2008年の金融危機以来の下げ幅を記録し、ダウ工業株30種<.DJI>は一時直近高値を20%下回って弱気相場とみなされる展開になった。

トランプ氏は繰り返し、新型ウイルス問題は大したことがないと主張しているが、市場関係者はこの問題が経済に及ぼす悪影響が11月の大統領選でトランプ氏に敗北をもたらす恐れがあると警告する。

レイモンド・ジェームズのアナリストチームは8日のノートに「大統領の再選は経済次第となる公算が大きい。COVID19(新型コロナウイルス感染症)に起因する医学的ないし経済的、もしくはその両方のショックは、彼の再選にとって最大の脅威だ。経済を守り、さらなる株安を防ぐために、大規模な財政対策を積極的に推進することがトランプ氏の一番の利益になる」と記した。

株価下落と景気悪化が長期化するほど、トランプ氏の再選が危うくなるとの声も聞かれる。スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフ市場エコノミスト、ピーター・カルディロ氏は「リセッションに突入すればどうなるかは歴史が物語っている。リセッションで再選された現職大統領は存在しない」と指摘した。

FHNファイナンシャルの金利ストラテジスト、ジム・ボーゲル氏は「新型ウイルス問題で被害を受ける人が増えていくのに伴って、この問題のイメージがより持続し、大統領選に波及しやすくなる。国家的な危機が現職にとってプラスに働くのは、あくまでも問題が手に負える範囲にとどまった場合だ」と述べた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・WHO「新型コロナウイルス、パンデミックの脅威に現実味 なお制御可能」
・スペイン、新型コロナウイルス感染者999人に急増 政府が近く支援策発表へ
・韓国、8日の新型コロナウイルス感染は過去10日で最低に 文在寅「安定局面に入る可能性」


20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症 vs 人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ、停戦合意に基づきカンボジア兵18人を解放

ビジネス

中国、来年の消費財下取りに89億ドル割り当て スマ

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大

ビジネス

中国製造業PMI、12月は9カ月ぶり節目回復 非製
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中