最新記事

感染症

感染力でみる新型コロナの脅威──ワクチンができるまで「集団免疫」の予防策はとれない

2020年3月3日(火)14時40分
篠原 拓也(ニッセイ基礎研究所)

感染力だけみれば、はしかやおたふくかぜのほうが高いが…… Ada Yokota-iStock

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2020年2月28日付)からの転載です。

新型コロナウイルスの感染拡大の脅威が高まっている。2月27日現在、世界全体で感染者は8万2294人、死亡者は2804人。日本では、感染者は891人、死亡者は7人(横浜港に停留したクルーズ船、中国からのチャーター機を含む) に達している。(世界保健機関[WHO]"Situation Report-38"[2020.2.27]より)

人類は、有史以前から感染症との闘いを繰り返してきた。衛生環境をよくしたり、診療技術を高めたりして、感染症の拡大防止に努めてきた。しかしいまも、その脅威から完全に逃れることはできていない。今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、そのことを浮き彫りにしている。

感染症は病気の一種ではあるが、対処方法は通常の医療の枠内にとどまらない。保険会社では、リスク管理の一環として、感染症の調査が続けられている。そこでは、予防時やパンデミックなど感染拡大時の対策は、自然災害に対処する場合と類似したものと位置づけられている。つまり、感染症対策は、社会全体での予防や正確な情報の伝達など、世の中の幅広い領域に関係すると考えられている。

そこで、過去のパンデミックを振り返って、予防や拡大防止にはどうしたらよいか、考えてみよう。

そもそも、パンデミックという言葉は、感染症が世界的に同時期に流行することや、世界的に流行する感染症そのものを指す言葉として用いられる。世界保健機関(WHO)は、感染症の拡大に応じてフェーズ(段階)を設定しており、フェーズ6の「パンデミックが発生し、一般社会で急速に感染が拡大している」状況を、パンデミック期と位置づけている。

スペイン・インフルエンザでは5000万人もの死亡者が発生 (最大推計)

ここで、今回の新型コロナウイルスと同様、肺炎症状を示すインフルエンザについて、過去に発生したパンデミックの様子をみておこう。

インフルエンザは、流行性感冒といわれ、20世紀に3回、21世紀にこれまで1回のパンデミックを引き起こしている。特に被害が大きかったのは、1918年に発生したスペイン・インフルエンザのパンデミックで、世界で5000万人が死亡したとされる(最大推計)。これは、1つの感染症による死亡者数としては、史上最大級といわれている。

Nissei200302_1.jpg

こうしたパンデミックの背景には、社会の近代化とともに、都市部の人口密集が進んだことや、鉄道、航路などの交通網が発達して人の移動が活発になったこと、などがあると考えられている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ政府が大型建設を一時停止、クレーン落下の死亡事

ビジネス

ポピュリズムに毅然と対応を、英中銀総裁表明 経済リ

ビジネス

ポルシェの25年販売、10%減 中国需要の低迷響く

ワールド

ブルガリア大統領、総選挙実施を発表 組閣行き詰まる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑について野次られ「中指を立てる」!
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 5
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 6
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 7
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 8
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 9
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 10
    「ひどすぎる...」滑走路にペットを「放置」か、乗客…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中