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欧州の防衛向け共同借り入れ、ユーロの国際的役割強化する=フィンランド中銀総裁

2025年07月02日(水)18時59分

 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁(写真)は、欧州は防衛分野への投資をプールしておくべきだと指摘した。2024年1月、ヘルシンキで撮影(2025年 ロイター/Lehtikuva)

[シントラ(ポルトガル) 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は、欧州は防衛分野への投資をプールしておくべきだと指摘した。コストを削減しプロセスを迅速化できる上、通貨ユーロの国際的役割を強化できる新たな安全な金融資産を創出できるとした。

欧州では、軍事能力の増強を目指す中、必要な資金を共同で調達する「共同債」構想が浮上している。

レーン氏はロイターに「国防は、欧州の金融構造を強化するもうひとつの安全資産を生み出す機会でもある」と述べた。「(欧州)共通の防衛費を公共財であると考えるなら、共通の解決策も必要だ」とした。

防衛費は、すでに高水準にある国家債務を増加させることになるが、欧州連合(EU)が国防開発銀行を設立し、一部資産を保有することで、各国のバランスシートに負担をかけないようにすることができる、とレーン氏は指摘した。

「防衛費とインフラ投資を大幅に増やすというドイツの決定は極めて重要だ。北大西洋条約機構(NATO)加盟国が決定した防衛費増額は重要な財政刺激となり成長を高める」と指摘した。

欧州は貯蓄・投資同盟の実現に向け、2028年1月1日までに手続きを完了させる明確なスケジュールを設定すべきだと述べた。

「現在の環境はユーロにとって重要な時であり、これを無駄にすべきではない」と語った。

この10年低過ぎたり高過ぎたりした物価はようやくECBが安定と見なす水準に収れんした。しかし、世界経済の混乱の影響でインフレ率は再びECBの目標を下回る可能性がある。

レーン氏は、「見通しには双方にリスクがあるが、インフレ率が18カ月間目標を下回るとわれわれは想定しており、目標を下回るリスクの方が大きいと私は考えている」と述べ、「為替レート、エネルギー価格、関税は全てディスインフレを引き起こし、経済成長を抑制する」と指摘した。

ロイター
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