最新記事

中国

中国の巨大タンカー84隻が一斉にペルシャ湾めざす

2020年3月20日(金)22時00分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

しかしロシア最大手の国営石油会社ロスネフチのセチン社長は、「減産は間違いで、OPECとの協調はロシアに益をもたらさない」との考えを持っており、特に「アメリカが今や世界一の原油生産国(1日糧1500万バレル)となってしまったのはOPECの無能によるもので、アメリカの原油生産増加を叩かねばならない」と主張しています。セチン社長は大統領側近で、最も信頼されている忠義無類の部下とみなしていいでしょうから、プーチン大統領はセチン社長の主張に耳を傾けたものと判断されます。

その意味で、これは極めて政治色の濃い方針です。本件に限りませんが、ロシアは伝統的に政治的利益が経済的利益より優先されるので、国力の割には豊かにならない構造があるように見えます。

サウジとの石油戦争も、ロシアは油価によって為替レートを動かせるので、貿易収支は決して赤字にはならず、ロスネフチも現地通貨建ての収入は減るどころか増産によって増える可能性もあります(もっとも外貨建てでみれば、大幅な減収となります)。

経済的視点から見ている上記ロシアの民間大手(LUKOIL)は、「外貨収入を大幅に減らしてどうするのか、まだ、ロシアは多くの品物を輸入に頼っており、これでインフレは間違いなく起こる。国民の生活も苦しくなる。そもそも国の経済力が毀損する」と言っています。これは正論だと自分には思えるのですが、ロシア政府は「我々は十分な外貨準備も財政の余裕もある。心配はいらない」と国民向けに強がりを言っています。

しかし既に一般国民の所得は上がっていないどころか減少していて、しかもこの新型コロナ騒ぎで、国民の経済面での不安は高まるばかりです。

アメリカの介入

「モスクワの友人」の便りは油価の暴落は経済縮小につながり、それがまた株の暴落など金融にも影響していくことや、日本企業への影響などに関しても書かれており、アメリカが必ず介入してくると書いてあった。

案の定、3月19日、トランプ大統領はサウジアラビアがロシアに仕掛けた価格戦争に介入する可能性を示唆した。ウォールストリート・ジャーナルは「サウジアラビアには減産を求める一方、ロシアには制裁を示唆するだろう」と伝えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米経済活動、7地区で緩やかな拡大 見通しは全体に楽

ワールド

イラン、CIAに停戦協議打診か イスラエルは米に説

ワールド

ハメネイ師息子モジタバ師、後継有力候補との情報 米

ビジネス

プーチン氏、欧州向けガス供給の即時停止の可能性を示
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 7
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 8
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 9
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中