最新記事

新型コロナウイルス

中国の農業大学「新型コロナウイルスはセンザンコウが媒介」 疑問の声も

2020年2月10日(月)11時55分

中国で発生した新型コロナウイルスの感染源について、これまで指摘されているコウモリに加えて、「センザンコウ犯人説」が浮上している。写真はベトナム・ハノイの保護センターでセンザンコウを持つ男性。2016年9月撮影(2020年 ロイター/Kham)

中国で発生した新型コロナウイルスの感染源について、これまで指摘されているコウモリに加えて、「センザンコウ犯人説」が浮上している。中国の大学が指摘したものだが、海外の有識者からは疑問の声も出ている。

センザンコウは世界で唯一、うろこを持つ哺乳類。中国国有の新華社通信は、華南農業大学が主導した調査で、センザンコウから取り出した新型コロナウイルスの菌株の遺伝子配列が、感染した人のものと99%一致したと報道した。華南農業大学はウェブサイトで「(新型ウイルスの)発生源のコントロールと感染防止に向けて大いに意味のある発見だ」と自賛した。

しかし英ケンブリッジ大学で獣医学研究部門責任者を務めるジェームズ・ウッド氏は「感染拡大にセンザンコウが関与している証拠は、1つの大学が発表した以外、何も出てきていない。これでは科学的証拠とは言えない。ウイルスのリボ核酸(RNA)の配置が99%強同じだと判明したと伝わっただけでは、十分ではない」と指摘した。

また英ノッティンガム大学のジョナサン・ボール教授(分子ウイルス学)は、華南農業大学の調査は興味深いとはいえ、センザンコウがウイルスの「中間宿主」なのかどうかはまだ分からないと強調。「人とセンザンコウのウイルスの関連性を把握するには、あらゆる遺伝的なデータを見定め、このウイルスがセンザンコウの間でどのように広がり、武漢の市場で感染した個体が実際に売られていたのかどうかを把握する必要がある」と述べた。

香港城市大学のダーク・フェイファー教授(獣医学)も、センザンコウと人から人へのウイルス感染の因果関係があると結論付けるには、華南農業大の調査ではなお道のりが遠いとの見方を示した。

Kate Kelland Tom Daly

[ロンドン/北京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200218issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

歴代FRB議長ら、パウエル氏捜査非難 独立性への前

ワールド

メキシコ大統領、米軍事行動の可能性否定 トランプ氏

ビジネス

アルファベット時価総額4兆ドル到達、AI注力を好感

ワールド

ローマ教皇、ノーベル平和賞のマチャド氏と面会 ベネ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    筋力はなぜパワーを必要としないのか?...動きを変え…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    美男美女と話題も「大失敗」との声も...実写版『塔の…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中