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感染症

韓国でMERSが拡大した理由──国民の生命より体制維持を優先する「持病」とは

Seoul’s Chronic Problem

2020年2月7日(金)11時45分
前川祐補(本誌記者)

最大野党・新政治民主連合の文在寅(ムン・ジェイン)代表は「政府が居直った」と、感染拡大の批判の矛先を朴市長に向けようとする動きを批判。李鐘杰(イ・ジョンゴル)院内代表は、政府による捜査を「悪習」と切り捨てた。

李が指摘する「悪習」の背景にあるのは、軍事政権以来、韓国に根強く残る強権政治の伝統だ。財閥との癒着も軍事政権以来の「悪習」。そもそも現在の朴大統領は、軍事政権の独裁者だった朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の長女だ。

国民の生命という高い代償を払っても、なお「持病」を治療できないのなら──韓国社会をむしばむ問題は相当根が深い。

<2015年6月30日号掲載「MERS騒動と韓国の根深い病」より>

【参考記事】新型コロナウイルス感染爆発で露呈した中国政府の病い
【参考記事】武漢の危機を悪化させる官僚主義

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