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「蔡英文再選」後の台湾はどこへ

XI JINPING’S TAIWAN CHALLENGE

2020年1月15日(水)18時30分
ミンシン・ペイ(本誌コラムニスト、クレアモント・マッケンナ大学教授)

軍事面では、最終的に武力カードを使うことも視野に入れた準備を加速させるはずだ。台湾が正式な独立に踏み切る可能性をゼロにするには、軍事的な脅威という抑止力が必要だと中国の指導部は考えている。そのため南東部沿岸への短距離弾道・巡航ミサイルなど攻撃兵器システムの配備は着実に進む。台湾周辺での海軍と空軍の大規模な演習も頻繁に実施されることになる。

三面作戦のうち、中国が最も先を見越した攻勢に出るのは経済面だ。習と指導部は中台の経済関係の強化が長期的には中台統一を強力に推し進める原動力になると確信している。台湾の有権者は心情的には独立を望んでも、現実問題として経済的な生き残りを選ばざるを得ないからだ。

台湾経済の中国依存そのものが独立を阻む要因になる。昨年11月に中国が台湾の企業と個人に対する優遇策を発表したのもそのためだ。

この優遇策で特筆すべきは、台湾企業が中国でいわゆる「内国民待遇」を受けられることだ。これにより中国の企業に与えられる優遇措置の大半を享受できることになる。優遇措置は個人にも与えられ、台湾で取得した学位は中国の学位と同様に扱われるし、中国で不動産を購入することも認められる。

三面作戦が今後数年で成果を生むかは疑わしい。しかし米中関係が急速に悪化し、中国が取れる有効な選択肢が限られている今、現実路線と強硬路線の中間を行く習の戦略は最も無難なアプローチとみていい。

平和的な中台統一の夢が絶望的なまでに遠ざかっても、忍耐強く微妙なバランスを保って米中激突を避けること。習は今後数年間、その胆力を試されることになる。

<本誌2020年1月14日号 特集「台湾のこれから」より>

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