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台湾総統選

「蔡英文再選」後の台湾はどこへ

XI JINPING’S TAIWAN CHALLENGE

2020年1月15日(水)18時30分
ミンシン・ペイ(本誌コラムニスト、クレアモント・マッケンナ大学教授)

今後2年程度、習は2期目に入る蔡政権に現実的な対応を取る公算が大きい。米政界の動きを気にする必要があるからだ。取りあえず今は米大統領選の行方が読めないため慎重にならざるを得ない。

米大統領選の投票が行われる11月3日まで習は事を荒立てまいとするだろう。下手に動けば軍事衝突の危険性が増すのは分かり切っている。中国が挑発的な行動を取ればトランプは支持基盤受けを狙って強硬姿勢を見せつけようとするからだ。

投票が終わって米政界の今後がある程度見通せるようになっても、習はしばらく様子見を続けるだろう。トランプが再選されれば、米中関係が悪化し続ける可能性が高くなる。政治的なコストを気にする必要がなくなれば、トランプは貿易戦争を再開しようとするだろうから、習はトランプに対中攻撃の口実を与えるような言動を慎まざるを得ない。

民主党候補が勝てば、習はなおさら慎重になる。台湾問題で対米関係がこじれ、ホワイトハウスの新しい主人と敵対するような事態は避けたいからだ。習は軍部を完全に支配下に置いているし、自分を批判する者がいたら汚職を口実に収監できる。米大統領選が終わった後も政権内部の強硬派を抑え込めるだろう。

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2019年11月にスリナムの大統領を人民大会堂で迎えた習 FLORENCE LOーREUTERS

習の忍耐と胆力が試される

こうした事情から、習は台湾に対して今後2、3年は基本的に、16年に打ち出した三面作戦を続ける可能性が高い。

まず外交面で台湾への締め付けを強める。16年に蔡政権が発足して以降、中国は各国に台湾と断交するよう精力的に働き掛けてきた。今や台湾と国交がある国はわずか15カ国。中国は今後、この15カ国も自陣営に引き入れようとするだろう。なかでも目を付けているのは中国との関係改善に大乗り気なバチカン市国だ。

また、中国は台湾を一層孤立させるため、外交力にものいわせてあらゆる種類の国際機関への台湾の参加を妨害するだろう。

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