最新記事

新型肺炎

新型肺炎の感染者は「少なくとも4000人」──専門家が推計

China Coronavirus May Have Infected At Least 4,000 People, Experts Believe

2020年1月24日(金)14時40分
カシュミラ・ガンダー

公表値以上に感染が拡大している恐れがある(写真はマスクを付けて上海駅の警備にあたる警察官) Aly Song/REUTERS

<ロンドン大学の専門家チームが推定した新型肺炎の感染規模は、今週初めに発表した推計結果の2倍以上に膨れ上がった>

中国湖北省の武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染者は、少なくとも4000人に上ると専門家が推定した。

昨年12月に武漢市の保健当局が新型コロナウイルスを確認して以降、米ジョンズ・ホプキンズ大学が作成した患者数まとめによると、これまでに18人が死亡、653人が感染したと中国保健当局は発表している(24日正午現在)。

しかしロンドン大学インペリアル・カレッジで、「モデリング」という新型肺炎の感染モデルの解析を行っている専門家チームは、1月18日までに累計で4000人が感染した可能性があると推定した。昨年12月に発生した初期の感染者は武漢市の海鮮市場の関係者だった。

「武漢での感染拡大によって、実際にはこれまでに検知、報告されているよりも穏やかな症例や、反対に深刻な呼吸器症状を引き起こしている症例があるのではないか」と、専門家チームはコメントしている。

また、中国当局の症例報告が今週になって急増したのは、感染の検知、報告体制が「ここ数日の間に大きく向上したため」と説明している。新型肺炎への理解が進むことで、「我々の推計結果と公式発表の感染者数の違いがさらに縮まることが期待される」という。

中国本土以外の感染者数も増加

ロンドン大学の専門家チームは、今週20日に武漢市内の患者が1700人以上にのぼるという推計結果を発表したが、今回はそれから感染規模が2倍以上に膨れ上がっていると解析した。「中国本土以外で確認された患者数が3人から7人に増えたことが、今回の結果に繋がった」と専門家チームはコメントしている。

さらに、「今回の推定結果は、感染者数が1月12日から18日の期間に2倍に増加したことを示しているのではない。中国国外での症例検知や報告の遅れ、症状発症の日付の情報が不十分なこと、さらに国外の症例がいまだに非常に少ないことなどを考え合わせると、我々も現時点の感染拡大のスピードを推定することはできない」と注意を促している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:戦略投資、次期中計で倍増6000億円

ワールド

トランプ氏、イスラエル首相と来週会談 ホワイトハウ

ビジネス

ロビンフッド、EU利用者が米国株を取引できるトーク

ワールド

トランプ氏、シリア制裁解除で大統領令 テロ支援国家
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 6
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 10
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中