最新記事

アマゾン

アマゾン年末商戦を狙って各地でストライキ、賃上げ求める

Amazon Black Friday Protests in Europe: What We Know

2019年12月2日(月)16時40分
ブレイク・ドッジ

Brendan McDermid-REUTERS

<年末の重要なセール期間に、欧州各地でアマゾンに抗議するストライキが頻発。賃上げと労働環境の改善を訴える運動に対し、アマゾンは労組の策略だと反発する>

オンライン小売大手アマゾンにとって11月29日の大型セール「ブラックフライデー」は、1年で最も忙しい日のひとつ。この日を狙って、ヨーロッパ各地の従業員が、賃上げと労働環境の改善を求めるストライキを行った。

ストは週末を通して続き、次の年末大セール「サイバーマンデー」の間も行われる。

アマゾン幹部は本誌に対し、同社が従業員に支払っている賃金は、同じ職種内では最高レベルだと回答。背後でストライキをけしかけた組合が、メディアをミスリードしていると付け加えた。

ドイツのサービス産業労働者の組合「統一サービス産業労組(ベルディ)」は、フランスとドイツのアマゾンに対するストライキを組織した。ベルリンに拠点を置くベルディには、1000を超える業種から200万人以上の組合員が加盟している。2013年の春以降、アマゾンに対するストライキを何度も行ってきた。

「労組が求める条件を、アマゾンはすで提供している。それなのに、自分たちに都合のいい間違った情報ばかり発信している」と、アマゾンの広報担当者はヤフー・ファイナンス!に対する声明で述べた。

イギリスのストライキを組織したのは約6万2000人の労働者が加盟するGMBユニオンだ。同労組はストライキ当日の声明で、国内のアマゾン労働者は頻繁に負傷や意識喪失で救急搬送されているため、安全な労働環境の確保を重視すると宣言した。

トイレにも行けない高密度

GMBによると、11月29日にはロンドンをはじめイギリスの8つの都市にあるアマゾンの物流センターで、抗議の集会が開かれた。

同組合は、ストライキの理由を説明するためにいくつかの調査結果を挙げた。2018年の報告によれば、アマゾンの労働者の大多数が、生産目標を達成できなくなる恐れから、トイレの使用を我慢していたという。

GMBは声明の中で、同組合のアマゾンに対する調査によって、アマゾン倉庫への救急車の出動要請は3年間で600回を超え、600件を超える重傷のケースがあったと報告した。

アマゾン側は、この抗議活動にアマゾンの従業員は参加しておらず、イギリス国内で抗議活動が行われたのは8カ所どころか、3カ所だけだったと主張している。

「GMBは、アマゾンでの労働条件についてメディアや一般の人々を誤解させているように、抗議集会についても間違った情報を流している。すべては組合の会員数を増やし、会費による収入増加をめざしてのことだ」と、アマゾンの広報担当者は応えた。

<参考記事>米ブラックフライデー、ネット販売70億ドル超に増加 店舗利用に変化
<参考記事>サイバーマンデーでさらに儲けるアマゾンの戦略

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EUメルコスルFTAに暗雲、仏伊が最終採決延期で結

ワールド

NZ、今後5年は財政黒字化せず 景気低迷が重し

ワールド

ベネズエラ大統領がベラルーシ移住なら歓迎=ルカシェ

ワールド

アングル:物価高はトランプ氏のせいか、支持者が大統
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中