最新記事

イギリス総選挙

EU首脳、英保守党の勝利歓迎 「EUはEUの利益を守る」

2019年12月14日(土)14時00分

12月13日、欧州連合(EU)首脳は、英国のEU離脱につながり得る英総選挙での与党・保守党の勝利を歓迎する一方、新たな英EU間の関係を巡る協議は非常に困難なものになるとの見方を示した。写真は同日、ブリュッセルで記者会見するミシェルEU大統領(2019年 ロイター/Yves Herman)

欧州連合(EU)首脳は、英国のEU離脱につながり得る英総選挙での与党・保守党の勝利を歓迎する一方、新たな英EU間の関係を巡る協議は非常に困難なものになるとの見方を示した。

12日投開票の英総選挙では、ジョンソン首相率いる保守党が単独過半数議席を獲得し地滑り的勝利を収めた。ジョンソン首相は13日、保守党政府は英EU離脱の完遂を付託されたと勝利宣言、来年1月31日にEUを離脱するとあらためて表明した。

英国を除くEU加盟27カ国首脳は13日、来年12月までの移行期間中に将来的な英EU関係を巡る協議を開始できるよう新たな英議会による離脱合意の迅速な批准を求めた。

ドイツのメルケル首相は首脳会議後の記者会見で「協議は非常に複雑になるだろう。協議内容は通商面や漁業、安全保障および外交政策での連携など多岐にわたる」と指摘。「最大のハードルはこれらの問題を非常に迅速に解決する必要があることだ。来年末までに完了しなければならない。6月には移行期間の延長の是非に関する判断を行う必要があるが、英国は延長を望んでいない」と述べた。

ミシェルEU大統領は、加盟27カ国が英国のEU離脱後に英国との「非常に強力な戦略的関係」を望んでいると表明。ただ、EUが英国との新たな通商合意において公平な競争を保証する条項を求めていることに言及し、「EUにはEUの利益を守り、促進する用意がある。平等な競争条件は非常に重要な目標だ」と語った。

加盟27カ国の共同声明では、英国との将来的な関係は「権利と義務の均衡および平等な競争条件の確保」に基づく必要があるとした。

フランスのマクロン大統領は、英国がEU離脱後に経済を巡る規制緩和を求めれば求めるほど、EUの単一市場へのアクセスが失われると強調。「気候や環境、経済、社会における規制で大きな違いがある欧州の単一市場と強力な関係が築けるとは考えづらい」と述べた。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「短い時間を最大限活用する用意がある。英国は第三国となるが、最終的には前例のないパートナーシップを締結するだろう」と語った。

[ブリュッセル ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃

ワールド

シリアで米兵ら3人死亡、ISの攻撃か トランプ氏が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 10
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中