最新記事

中国

中国メディア、民主派圧勝の香港区議会選を詳報せず 先鋭化する抗議に批判社説も

2019年11月26日(火)16時38分

香港の区議会選で民主派が圧勝したが、中国本土の大手メディアは概ね区議会選の詳細を報じていない。25日、香港理工大学で撮影(2019年 ロイター/Marko Djurica)

香港の区議会選で民主派が圧勝したが、中国本土の大手メディアは概ね区議会選の詳細を報じていない。

一部のメディアは各派の議席数や投票者数などを報道。事実を忠実に報道することで定評のある経済金融誌・財新は、選挙区のリスト、候補者、得票数を報じたが、背景情報は伝えなかった。

一方、社説では厳しい論調が目立った。

英字紙チャイナ・デーリーは26日、「香港の民主主義の発展が妨げられた。選挙結果は、反体制派が自らの候補のために行った違法活動で歪められた」とし「体制寄りの候補の露出度と知名度を減らすために暴力的な威嚇戦術(が用いられた)」と主張した。

共産党機関紙の人民日報は25日のオンライン版の論説記事で、選挙は「『黒いテロ』と暴力という濃い煙が消える前に」行われたが、警察の力により平和的に実施されたと指摘。「暴力行為と混乱に終止符を打ち、秩序を回復することが、香港にとって引き続き最も差し迫った課題だ」と主張した。

人民日報は26日の印刷版では「一国二制度」を強調。「一国二制度は完全な概念であり、一国と二制度の関係を正確に把握する必要がある」とし「一国は根っこであり、根が深くなければ多くの葉を茂らすことはできない。『一国』が基盤であり、そうした盤石な基盤の上に枝が繁茂する」と述べた。

新華社も25日、「香港を暴力の氾濫から守り、香港の一段の沈下を防ぐには、香港社会のすべての部門が協力し、できる限り早期に暴力と混乱の恐怖を克服し、法と理性の支配に戻る必要がある」と伝えた。

[上海 26日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191203issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月3日号(11月26日発売)は「香港のこれから」特集。デモ隊、香港政府、中国はどう動くか――。抵抗が沈静化しても「終わらない」理由とは? また、日本メディアではあまり報じられないデモ参加者の「本音」を香港人写真家・ジャーナリストが描きます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=続伸、S&Pが終値で最高値 グロース

ビジネス

再送-11月の米製造業生産は横ばい、自動車関連は減

ワールド

米最高裁、シカゴへの州兵派遣差し止め維持 政権の申

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、GDP好調でもFRB利下げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中