最新記事

中国

香港高裁と北京政府が激突

2019年11月21日(木)13時40分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

マスクをしてデモに参加する香港市民(11月14日、中環にて) Athit Perawongmetha-REUTERS

香港高裁が「覆面禁止令」は香港基本法に違反するという判決を出した。それに対して全人代常務委員会は基本法の解釈権は全人代常務委員会のみにあるとして香港の司法を激しく批判。対立構造の原点を解剖する。

「覆面禁止令」とは

このコラムを読んでくださる方の中には、ご存じない方はおられないとは思うが、念のため、「覆面禁止令」とは何かをざっとおさらいしておきたい。

今年10月4日、香港の林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は「緊急状況規則条例」(緊急条例)を発動し、デモ参加者のマスクなどの着用を禁止した。顔を何らかの形で覆い、見えなくすることを禁止する緊急立法を発布したのである。

緊急条例はまだイギリス統治時代の1922年に制定されたもので、1967年5月6日から同年12月まで香港で闘われれた「67暴動」の時に発動されて以来、約半世紀ぶりに発動された。「67暴動」は文化大革命の流れの中で、中共側が反英運動として起こしたものである。林鄭月娥は記者会見で「覆面禁止令」の目的は「暴力行為をやめさせるためだ」と述べている。

香港高裁「覆面禁止令違憲」判決に中国猛反発

香港の高等法院(高裁に相当)は18日、「覆面禁止令」が香港基本法に違反しているとの判決を下した。これに対して中国政府が猛烈に反対している。

中央テレビ局CCTVは、例によって噛みつくような勢いで、香港の司法には香港基本法に対する解釈権はなく、全人代(全国人民代表大会)常務委員会にのみ、その権限があると繰り返したが、11月19日付の中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」もまた「全人代:香港高裁の判決は基本法と全人代関連規則に合致しない」というタイトルで香港高裁を糾弾している。

それによれば、11月19日付の新華社電は、全人代常務委員会法制工作委員会の報道官が香港高裁の判決に関して以下のように語ったという。

●11月18日に香港高裁が出した一連の判決の中に、「緊急条例(覆面禁止令)」が香港基本法に符合しないという判決があるが、これは完全に無効である。(中華人民共和国)憲法と基本法は共同で特別行政区の憲法制度を構成している。香港特別行政区の法律が香港基本法に合致するか否かを判断する権限を持っているのは全人代常務委員会にのみあり、当該委員会のみが基本法の解釈権を持っている。

ニュース速報

ビジネス

米雇用統計、11月26.6万人増 予想上回る 失業

ビジネス

中国、米国産大豆・豚肉の一部の輸入関税免除へ=財政

ビジネス

イタリア経済、目先は軟調な局面が続く見通し=国立統

ビジネス

中国、現地生産のテスラ車に新エネ車向け補助金の支給

MAGAZINE

特集:仮想通貨ウォーズ

2019-12・10号(12/ 3発売)

ビットコインに続く新たな仮想通貨が続々と誕生── 「ドル一辺倒」に代わる次の金融システムの姿とは

人気ランキング

  • 1

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 2

    文在寅の経済政策失敗で格差拡大 韓国「泥スプーン」組の絶望

  • 3

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 4

    ウイグル人権法案可決に激怒、「アメリカも先住民を…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 6

    『鬼滅の刃』のイスラム教「音声使用」が完全アウト…

  • 7

    サムスン電子で初の労組結成──韓国経済全体に影響す…

  • 8

    5G通信が気象衛星に干渉し、天気予報の精度を40年前…

  • 9

    ヘアカラーと縮毛矯正に潜む乳がん発症リスク

  • 10

    日米から孤立する文在寅に中国が突き付ける「脅迫状」

  • 1

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 2

    「日本の空軍力に追いつけない」アメリカとの亀裂で韓国から悲鳴が

  • 3

    文在寅の経済政策失敗で格差拡大 韓国「泥スプーン」組の絶望

  • 4

    日米から孤立する文在寅に中国が突き付ける「脅迫状」

  • 5

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 6

    ウイグル人権法案可決に激怒、「アメリカも先住民を…

  • 7

    韓国保守派のホープを直撃した娘の不祥事

  • 8

    5G通信が気象衛星に干渉し、天気予報の精度を40年前…

  • 9

    韓国ボイコットジャパンは競馬にまで 「コリアカップ…

  • 10

    中曽根政権の5年間で日本経済は失われた

  • 1

    「愚かな決定」「偏狭なミス」米専門家らが韓国批判の大合唱

  • 2

    「日本の空軍力に追いつけない」アメリカとの亀裂で韓国から悲鳴が

  • 3

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 4

    元「KARA」のク・ハラ死去でリベンジポルノ疑惑の元…

  • 5

    「韓国は腹立ちまぎれに自害した」アメリカから見たG…

  • 6

    GSOMIA失効と韓国の「右往左往」

  • 7

    GSOMIA継続しても日韓早くも軋轢 韓国「日本謝罪」発…

  • 8

    文在寅の経済政策失敗で格差拡大 韓国「泥スプーン」…

  • 9

    何が狙いか、土壇場でGSOMIAを延長した韓国の皮算用

  • 10

    日米から孤立する文在寅に中国が突き付ける「脅迫状」

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月