最新記事

ブレグジット

英ジョンソン、EU離脱の最終代替案提示 EU側は評価しつつも慎重姿勢

2019年10月3日(木)09時07分

ジョンソン英首相は2日、欧州連合(EU)に対し離脱協定案の最終的な代替案を示した。(2019年 ロイター/HENRY NICHOLLS)

ジョンソン英首相は2日、欧州連合(EU)に対し離脱協定案の最終的な代替案を示した。月末に控えた離脱期日に向け妥結につながる可能性はあるが、双方の立場にはなお隔たりがある。EU側は一定の評価をしつつも慎重な姿勢を崩していない。

離脱交渉の争点であるアイルランド国境問題の解決策 「バックストップ(安全策)」を巡っては、英領北アイルランドとアイルランドの国境もしくは近辺にチェックポイントを置かず、全ての物品の国境検査を省略する規制ゾーンの設置を提案。北アイルランドは英国の関税制度の一部にとどまる一方、税関審査を回避するため、手続きを簡素化する制度を導入するとした。

また、2020年12月の移行期間の終了前に、北アイルランドの自治政府や議会が規制ゾーン継続の是非を決定し、その後も4年ごとに同様の判断を行うことも提案した。

ジョンソン首相は与党保守党の党大会で演説し、「双方が妥協できる建設的かつ妥当な提案を提示する」と表明。さらに、新提案が受け入れられなければ、残された道は「合意なき」離脱と強調。「何が起きようと、英国は今月末にEUから離脱する」とし、強硬路線を堅持した。

その上で「われわれの友人が理解を示し、譲歩することを望む」とした。

欧州委員会のユンケル委員長は、ジョンソン氏の提案について、全ての物品を対象とする規制協定などは「前向きな進展」としつつも、「特に安全策の統治に関する部分など、今後数日で取り組むべき問題もいくつかある」と指摘。EUは合意を望んでおり、それに向け取り組む用意があると述べた。

バルニエEU首席交渉官も、提案は進展と言えるが解決すべき点はなおあると指摘。また、メイ前英首相の欧州顧問だったラウル・ルパレル氏は「EUとアイルランドがこの提案に合意するとは思えない」と悲観的な見方を示した。

英野党・労働党のコービン党首は、ジョンソン氏の提案はあまりに曖昧で、EUは受け入れないだろうと述べた。

このほか、EU外交官や高官らの間からは「根本的に欠陥がある」、「受け入れられることはない」との指摘が聞かれたほか、ある高官はロイターに対し「交渉の余地がないという内容であれば、離脱期限延期の方策について協議を開始するほうが良いだろう」と述べた。

ドイツ銀は、50%の確率で年末までに合意なき離脱という結果になると予想している。

一方、英閣僚幹部で合意なき離脱への準備を担当するゴーブ・ランカスター公領相は、新提案に対し議会で十分な支持が集まるとの見方を示した。

英議会はメイ前首相がまとめた離脱協定案を3度にわたり否決したが、ジョンソン氏の新提案に対しては、保守党の最も強硬な離脱派や労働党の一部議員が支持する考えを示唆している。

北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)も同案を歓迎する立場を示した。

ゴーブ氏はこうした状況について、ITVの番組で「かなり安定的な多数に見える」と述べた。また、英議会で承認されるとの見通しはEUにとって安心材料になるとした。

*内容を追加し、見出しを差し替えました。

[マンチェスター/ロンドン(英国) 2日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191008issue_cover200.jpg
※10月8日号(10月1日発売)は、「消費増税からマネーを守る 経済超入門」特集。消費税率アップで経済は悪化する? 年金減額で未来の暮らしはどうなる? 賃貸、分譲、戸建て......住宅に正解はある? 投資はそもそも万人がすべきもの? キャッシュレスはどう利用するのが正しい? 増税の今だからこそ知っておきたい経済知識を得られる特集です。



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

IEA、石油備蓄4億バレル放出で合意 過去最大規模

ワールド

イラン、W杯「参加できない」 最高指導者殺害で=ス

ワールド

トランプ氏、イランの標的「ほぼ残らず」 戦闘近く終

ビジネス

米CPI、2月前年比+2.4%上昇 3月のインフレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 7
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 8
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 9
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 6
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 7
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中