最新記事

イスラム過激派

バグダディは海の藻屑と消えたが ISという化け物は必ず蘇る

2019年10月29日(火)10時55分

バグダディは2015年、初めてその姿を現した。REUTERS-TV

米国務省の高官は28日、過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者バグダディ容疑者が米軍の急襲作戦によりシリアで死亡したことを受け、米政府は有志国連合によるIS掃討作戦の強化を望んでいると表明した。

高官は、トランプ大統領は今月6日にシリア北部からの米軍撤収を発表したが、IS掃討の任務を放棄するという意味はなかったとした。「これは重要な取り組みで、継続している」と語った。

IS掃討作戦に関し、関係国の外相はワシントンで11月14日に会合を開く。

米国務省は「シリアとイラクでISが勢力を盛り返すのを阻止する決意で、有志国連合とともにISの残党を壊滅させ、ISの世界での野心を打ち砕く」との声明を出した。ワシントンでの会合ではシリア北東部の最近の情勢が主に話し合われるとした。

急襲映像を一部公開も

トランプ米大統領は同日、バグダディ容疑者の死亡につながった急襲作戦の映像について、一部公開する可能性を示唆した。空中からの映像や兵士らに取り付けたカメラの撮影内容が含まれるもよう。

トランプ氏は記者団に対し「(映像公開については)検討中だ。一部映像を公開するかもしれない」と語った。ある米当局者は、米軍の戦術などが判明しないよう、映像を修正する必要があるとした。

一方、バグダディ容疑者が海に水葬されたことが、3人の米政府当局者らの話で明らかになった。イスラム教の慣習にのっとった葬儀が行われたという。

当局者らは葬儀の場所やどれだけの時間を要したかなどの詳細は伏せた。このうち2人は、遺体は航空機から海に運ばれたようだと述べた。

米軍のミリー統合参謀本部議長は米国防総省で28日に行われた記者会見で、米軍はバグダディ容疑者の遺体を標準的な手順や武力紛争の法律に従って「適切に」処置したと語った。

ただ、バグダディ容疑者が自爆して死亡したことなどを踏まえると、今回の葬送の手順は、2011年に米海軍特殊部隊シールズに射殺された国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディン容疑者が海に水葬された時ほど完全なものではないとみられる。ビンラディン容疑者の遺体は葬儀のために原子力空母「カール・ビンソン」に運ばれ、洗浄され白い布に包まれ、アラビア語に通訳された宗教的な言葉が唱えられた上で海に流された。

トランプ氏は27日、テレビ演説でバグダディ容疑者の死亡を発表。急襲を受けトンネルに逃げ込んだ容疑者を「(米軍の)軍用犬がトンネルの行き止まりに追い詰め、そこで彼がベストを爆破させ、3人の子供とともに死亡した」と述べた。その後現場でDNA検査を行い、本人と確認されたという。

バグダディ容疑者についてトランプ氏は「下劣で狂った人間だった。でもこの世にはもういない。哀れに泣き叫んで死んでいった」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市氏、イラン大統領と「私が次の段階で交渉」 米と

ビジネス

中東情勢予断許さず、経済財政運営に万全期す=城内経

ワールド

ホルムズ海峡の商船保護決議案、安保理で7日採決 内

ビジネス

長期金利上昇、水準には「コメントできない」=片山財
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 4
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 5
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 6
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 7
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 8
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 9
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 10
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 3
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中