最新記事

動物保護

米人気スーパーの菓子パッケージが批判を受けて変更、そのワケは?

2019年9月27日(金)18時00分
安部かすみ

近年のアメリカは、動物の権利を守ることに関して、人間の権利同様にとても厳しい。筆者の友人が以前、アニマルシェルターから捨て猫の里親になりたいと言い出したことがあったが、里親になる審査がとても厳しかったことが印象的だった。シェルターから第三者である私に電話がまずあり、その友人がどのような人物か、どのように知り合ったか、どのような仕事をして猫を養える安定した収入はあるのか、虐待歴はないかなど、非常に事細かく電話でインタビューを受けた。

また3年ほど前には、自宅近くで開催されたサーカス公演の会場前で、動物愛護団体が抗議しているのを実際に目にしたこともある。「すべての生物を愛し生命に敬意を示す」というポリシーを掲げた動物愛護団体「フレンズ・オブ・アニマル・ユナイテッド」による抗議活動だった。参加していた女性は、「時代は21世紀です。動物をサーカスに使ってはいけません」と静かに語った。

2016-02-25 19.21.02-1.jpg

サーカス会場前で「動物をサーカスに使うなんてけしからん」と抗議する人々 (c) Kasumi Abe

アメリカでは、ファッションとしての毛皮も嫌悪の対象として、動物愛護団体から非難されるので、着用の場合はやや注意が必要だ。当然、動物への虐待は罪が重く、犯罪者として厳しく罰せられる。

1年前にはナビスコもデザイン変更

トレーダージョーズのイメージは、同ピーナツ菓子だけではなく、ピーナツバターやトイレットペーパーにも同様に使われていた。

トレーダージョーズは、象をイメージに使った理由として、「野生動物の中でも特に記憶力が良いとされている象を描くことで、記憶=一度食べたら忘れられないバンバ・ピーナット・スナックスの味と結びつけたかった」と、悪意はなかったとしている。

しかし今回のPETAからのクレームを受け、同社は関連するすべてのパッケージデザインを変更し、販売再開を目指す。

PETAはこのほかにも、ちょうど1年前、ナビスコのロングセラーのクラッカー菓子「バーナムズ・アニマル・クラッカーズ」(Barnum's Animal Crackers)のイメージがサーカスの移動車の中に入れられた野生動物だったため警告し、デザインを一新させることに成功している(新デザインは自然の中を歩く野生動物)。今後、トレーダージョーズの象は、曲芸の様子からどのように変わるだろうか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

テスラ第3四半期納車が過去最高、米の税控除終了で先

ビジネス

ホンダ、ブラジルの二輪車工場に440億円投資 需要

ビジネス

マクロスコープ:生活賃金の導入、日本企業に広がる 

ワールド

米政権が「麻薬船」攻撃で議会に正当性主張、専門家は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 10
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中