最新記事

ブレグジット

混迷の英議会再開 ジョンソン、野党に不信任提出かEU離脱見守るか二者択一迫る

2019年9月26日(木)08時19分

ジョンソン英首相は25日から再開した議会に出席し、野党議員に政権を奪還するか、邪魔をせずに英国の欧州連合(EU)離脱を見守るかの二者択一であると迫った(2019年 ロイター/REUTERS TV)

ジョンソン英首相は25日から再開した議会に出席し、野党に対し、早期に総選挙を戦い政権を奪還するか、政府の邪魔をせずに英国の欧州連合(EU)離脱を見守るかの二者択一を迫った。

英国の最高裁判所は24日、ジョンソン首相が10月末のEU離脱期日直前まで議会を閉鎖した措置を巡る訴訟で、首相の措置は違法と判断。これを受け、下院は25日午前11時半(日本時間午後7時半)に再開した。

ジョンソン首相は、下院で「議会は政府がブレグジット(EU離脱)を果たすのを邪魔をせずに見守るか、不信任動議を提出し、有権者の審判を仰ぐべきだ」と述べて、野党を挑発。自身はブレグジットを巡り「国民を裏切る」ことはないと強調した。

ただ、労働党のコービン党首を含む野党トップらは挑発には乗らず、ジョンソン首相が合意なきEU離脱を排除した場合にのみ総選挙に同意すると述べた。

首相辞任を求める声が飛び交う中、ジョンソン氏は、野党は政権奪還できないことを恐れ、総選挙への同意を拒否していると主張。「国民は、何が起きているかはっきりと分かっている。野党は国民を信頼していない」と述べた。

議会はジョンソン首相による早期総選挙の動議を2度にわたり否決している。

また、10月19日までに議会でEUとの離脱協定案が承認されず、合意なき離脱も認められなかった場合、ジョンソン首相に対し3カ月の離脱延期をEUに求めることを義務付ける法律が成立している。[nL3N2610VD]

ジョンソン氏は同法の条件が満たされても、離脱延期を要請することはしないと表明。一方、現行ルールに従って現在の期日である10月31日にEU離脱を実現すると述べた。

コービン氏は、首相に対し「総選挙を求めるなら、離脱延期を確保すべきだ」と訴えた。

ジョンソン氏の報道官は、野党が早期選挙に向けた行動を拒否する限り、10月31日にEUを離脱するという政府方針が黙認されたと政府側は理解すると指摘。「(不信任案を)提出するか黙るかどちらかを選択する時が来た」と語った。

*内容を追加します。

[ロンドン 25日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191001issue_cover200.jpg
※10月1日号(9月25日発売)は、「2020 サバイバル日本戦略」特集。トランプ、プーチン、習近平、文在寅、金正恩......。世界は悪意と謀略だらけ。「カモネギ」日本が、仁義なき国際社会を生き抜くために知っておくべき7つのトリセツを提案する国際情勢特集です。河東哲夫(外交アナリスト)、シーラ・スミス(米外交問題評議会・日本研究員)、阿南友亮(東北大学法学研究科教授)、宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)らが寄稿。



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=

ビジネス

GM、通期利益予想引き下げ 関税の影響最大50億ド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中