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人権問題香港境界で中国武装警察が演習 抗議デモ隊をけん制

中国深圳にある香港との境界に近い競技場で中国人民武装警察(武警)が演習を実施しているのが確認された。香港で続いている「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動に対するけん制とみられる(2019年 ロイター/Thomas Peter)
中国深圳の香港との境界に近い競技場で15日、中国人民武装警察(武警)が演習を実施しているのが確認された。香港で続いている「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動に対するけん制とみられる。香港に駐在する西側およびアジア諸国の外交関係者は、中国政府が人民解放軍や武警を香港に投入しようとは考えていないとみている。
すでに米国務省が、武警が香港との境界近くに集結していると指摘し懸念を表明している。
深圳の競技場からは、迷彩服姿の男性らが声を挙げたり、警笛の音が聞こえた。競技場の駐車場は100台以上の武警関係車両で埋め尽くされ、ホールローダーが少なくとも3台、放水砲を搭載した車が2台あった。
中国国営メディアはこれまでに何度か深圳での演習を伝えている。
人民日報傘下の環球時報は今週、軍用車の車列が深圳市内を走行する動画を公開。
人民日報は、ソーシャルメディアの微博(ウェイボー)に、武警は騒乱やテロリスト攻撃に対応すると投稿した。
今のところはプロパガンダ
香港駐在の外交関係者は、中国指導部は、人民解放軍などを香港に投入すれば、国際社会から「一国二制度」への信頼を失い、制裁につながると十分認識していると指摘する。
ある西側の外交高官はロイターに「中国側が行動をエスカレートさせているのは、香港と中国本土にメッセージを送る狙いとみられる。それでもまだプロパガンダの域にとどまっている」と語った。
国際戦略研究所(IISS)のシンガポール駐在安全保障アナリスト、アレクサンダー・ニール氏は、軍の介入は「香港政府や警察も手に負えない、中国の国益が脅かされるような」はるかに深刻な事態にならなければ起こらないと指摘。深刻な事態として、香港で中国政府高官が暗殺ないし誘拐されたり、中国政府出先機関が占拠されたりすることなどを挙げた。


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