最新記事

北朝鮮情勢

3度のミサイル発射、北朝鮮は「安保理決議違反」ではないと主張 

North Korea Reacts to Missile Launch Critics: We Didn't Agree to Stop Tests

2019年8月5日(月)17時44分
トム・オコナー

ミサイル発射の様子と思われる画面を見て軍幹部と共に喜ぶ金正恩(8月3日、朝鮮中央テレビから) KCNA/REUTERS

<軍事境界線で会うというパフォーマンスも含め、3度にわたって「歴史的な」会談を重ねてきたのに、金正恩が弾道ミサイル発射を繰り返すのは、和平プロセスがまたも頓挫している証拠ではないのか>

7月下旬以降、北朝鮮が3回にわたりミサイル発射を行った問題で、北朝鮮は国連安保理決議違反だとする国際社会の批判に北朝鮮が反発している。そもそも署名していないのだからそうした批判は的外れだというのだ。

2回目の発射を受けてイギリスの国連代表部は、フランスとドイツの代表部とともに「ここ数日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に対する懸念」を表明するとともに、「国連安保理決議違反であるそうした発射を非難」した。だがその数時間後の2日、北朝鮮は3回目の発射を行うとともに声明を出した。

<参考記事>北朝鮮のミサイル発射直後、アメリカはICBMを発射していた
<参考記事>侮るなかれ、北朝鮮の「飛翔体」 新型短距離ミサイルはICBM超える脅威

国営朝鮮中央通信によれば、北朝鮮外務省の報道官は「(北朝鮮は)違法に勝手にねつ造された国連『決議』を認めたこともなければ将来的にも認めるつもりはない」との談話を発表した。

報道官は「当事者が認めてもいないそうした『決議』をでっち上げ、主権国家の主権に関わる問題についてあれこれ口出しをするのは、北朝鮮に対する侮辱、軽視、そして深刻な挑発だ」とも述べたという。

韓国国防省によれば、25日に発射されたのは移動式の短距離地対空ミサイルで最高高度は約50キロ、飛行距離は約600キロだった。31日に行われた「多連装ロケットランチャーシステム」の試験発射では、高度は30キロ、飛行距離は250キロだった。

北朝鮮のミサイル発射は何物にも縛られない

2日の発射についての情報はほとんど明らかになっていない。聨合通信によれば、韓国の統合参謀本部は「2つの短距離飛翔体」が最高高度約25キロ、マッハ7近い速度で220キロ飛んだと明らかにしたという。

2日の発射については画像も公開されていない。31日の発射については、北朝鮮の国営朝鮮中央テレビが使用された施設の映像を伝えたが部分的にモザイク加工されていた。25日の発射の様子については、5月の短距離ミサイル発射の時と同様、朝鮮中央通信が複数の写真を配信している。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とアメリカのドナルド・トランプ大統領は昨年、歴史的な対話に動き出そうとした。その地ならしとして金は、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射試験の一時停止を表明。この約束は今も破られてはいないが、短距離ミサイルの発射を再開したことで、北朝鮮の非核化や制裁解除、朝鮮半島における永続的な平和の実現に向けた具体的な計画が決まらないまま、和平プロセスはまたも頓挫したのではとの懸念が高まっている。

2日の北朝鮮外務省の声明によれば、「北朝鮮はいかなる国ともミサイルその他の飛翔体の射程の制限に関して合意を結んではおらず、関連する国際法に縛られてもいない」という立場だ。「核実験やICBMの試験発射を停止するという北朝鮮の決断は、対話のパートナーに対する善意と配慮の結果に他ならない」とも主張した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、今月初めの米軍による攻撃で兵士47人死

ワールド

EU、重要インフラでの中国製機器の使用を禁止へ=F

ワールド

イラン抗議デモ、死者3000人超と人権団体 街中は

ワールド

韓国、米のAI半導体関税の影響は限定的 今後の展開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 8
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 9
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 10
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 6
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中