最新記事

選挙

仏ロ首脳、モスクワ市議選の抗議活動めぐり舌戦 プーチン「黄色いベストで11人死亡」と批判

2019年8月20日(火)11時38分

フランスのマクロン大統領(写真右)とロシアのプーチン大統領(左)は、首脳会談に先立つ共同記者会見で、9月のモスクワ市議会選挙に野党候補が出馬するのを当局が禁止して大規模な抗議活動が毎週、1カ月以上続いていることを巡り、舌戦を繰り広げた。仏ブレガンソン城塞で代表撮影(2019年 ロイター)

フランスのマクロン大統領とロシアのプーチン大統領は19日、首脳会談に先立つ共同記者会見で、9月のモスクワ市議会選挙に野党候補が出馬するのを当局が禁止して大規模な抗議活動が毎週、1カ月以上続いていることを巡り、舌戦を繰り広げた。

口火を切ったのはマクロン氏で「われわれはこの夏、抗議や言論、意見表明、選挙出馬の自由が欧州諸国と同じようにロシアでも完全に尊重されるべきだと要求してきた」と語った。

一方、プーチン氏は当初この発言を無視したが、質疑の時間に入ると、事態は法令に沿って対処されていると主張するとともに「いわゆる黄色いベスト運動に関連した出来事をわれわれは全て承知している。われわれの計算では一連のイベントで11人が亡くなり、2500人が負傷した」と述べ、そうした展開は望まないと切り返した。

プーチン氏は「われわれはロシアの首都でそんな事件が起きてほしくないし、国内の政治状況が法の枠組みの下できちんと推移する態勢を確保するために、取り得るどんな手立ても取る」と強調した。

これに対してマクロン氏は、少なくとも黄色いベスト運動の参加者は選挙に出る権利を有している以上、フランスとロシアを同列に扱うのは間違いだと指摘。「運動参加者は欧州や各自治体の選挙に自由に立候補できる。彼らが選挙で制約なく意見を言えるのは素晴らしいことだと思う。なぜならそれは対立を和らげるからだ。われわれの国は、国民が表現の自由、抗議する自由、選挙に出る自由を持っている」と付け加えた。

[ブレガンソン城塞(フランス) 19日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20190827issue_cover200.jpg ※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:軽飛行機で中国軍艦のデータ収集、台湾企業

ワールド

トランプ氏、加・メキシコ首脳と貿易巡り会談 W杯抽

ワールド

プーチン氏と米特使の会談「真に友好的」=ロシア大統

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中