最新記事

中国

中国から「つらい...!」京アニ

2019年7月21日(日)13時50分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

京都アニメーション第1スタジオの放火現場に捧げられた花やカード(7月19日)Kim Kyung-Hoon-REUTERS

18日、中国の若者から「つらい...!」というメッセージが入った。京都アニメーション火災に関してだ。CCTV、人民網、環球網、新華網など中共中央と政府系列だけでなく、解放日報までが報道している。なぜ?

北京から「つらい...!」とメッセージ

18日、スマホのメッセージ着信音がせわしく鳴り続けた。

何ごとかと思えば、「つらい...!」という文字が見えた。

『中国動漫新人類』(2008年)を出版するときに取材した北京の若者からだ(動漫は動画と漫画の意味)。

「まさか、あの京アニが、こんなことになるなんて...」

「あんまりです、受け入れられません」

スマホの画面には京都アニメーション第1スタジオの見取り図も貼り付けてあり、「こんな部屋では逃げようがないですよ...」という悲鳴のようなものまで書いている。彼は熱烈な日本アニメのファンだ。

中国最大のSNSであるウェイボー(微博、wei-bo)からの着信音はさらに激しさを増し、「京アニは私の宝だった」、「悲しくて、どうしていいのか分からない」、「京アニは私の青春のすべてだった。私の青春を返せ!」など、どこもかしこも京都アニメーション(京アニ)の悲劇を嘆く声に満ち満ちていた。

CCTV、人民網、環球網、解放日報までが

驚くべきは中国共産党を宣伝するために存在する中央テレビ局CCTVや、中国共産党機関紙「人民日報」電子版、その姉妹版の環球網、そして1941年に毛沢東が延安で創刊した当時の中共中央委員会機関紙だった解放日報(のちに中国共産党上海市委員会へ移管)などが大きく報じていることだ。

たとえばCCTVは18日の12時のニュースで報じており、さらに午後2時台も夕方および夜のニュースでも、繰り返し報道した。CCTVが報道した最初の番組にうまくリンクできないのだが、北京時間18日12時14分から更新し続けていることを報道しているリンク先をご覧いただきたい。「央視」の簡体字は「中央電視台(CCTV)」の略である。出典が「央視新聞(ニュース)」と書いてある。CCTVからの転載だ。CCTVは毎時間のニュースで情報を更新し、19日の昼のニュースの時点でも、まだ更新を続けている。

7月18日20:54時点における人民網は、すでに死者が33人に達したことを報じている。環球網は7月18日 13:14 における報道だ。早くから報道していることがわかる。

「解放日報」も紙面で大きく取り上げている。国際面ではあるものの、日本の参院選のニュースの次に大きく扱っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

加藤財務相、為替はベセント財務長官との間で協議 先

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中