最新記事

5G

欧米に締め出されたファーウェイ、東南アジアで5G市場狙う

SOUTHEAST ASIA’S HUAWEI RESPONSE

2019年7月1日(月)17時00分
プラシャント・パラメスワラン

ファーウェイに対する東南アジア各国の対応はさまざまだ(バンコク) ATHIT PERAWONGMETHAーREUTERS

<アメリカなどに締め出された中国の巨人とフィリピンは既に手を結び、カンボジアも積極的>

6月下旬、フィリピン通信大手のグローブ・テレコムが中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の設備を導入した5G(第5世代移動通信システム)商用サービスをスタートさせた。5Gをめぐる競争が激化するなか、東南アジアで初の5G開設だ。

東南アジアは地域全体の人口(世界3位)、経済(同5位)ともに規模が大きく、中国にとって重要度は高い。ファーウェイは一部の国で以前から存在感を発揮しており、競争力のある5Gなどの分野で、いくつかのプロジェクトが進行している。

とはいえ、米政府が安全保障上の懸念を示すファーウェイに対する対応は、今のところ国によってまちまちだ。国の発展段階も技術レベルも異なるのだから、当然といえば当然だろう。

カンボジアなどはファーウェイとの事業に積極的だ。4月の「第2回一帯一路国際協力フォーラム」に参加したフン・セン首相は、同社との5Gに関する協力覚書に調印している。

一方、ベトナムなどは懐疑的で、タイとインドネシアは態度を保留している。ファーウェイとの事業にリスクよりチャンスを感じているようにみえる政府や企業がある一方、世論から不安の声が上がっている国もある。

今回、アメリカの同盟国であるフィリピンの企業が同社と組んだことで、東南アジア地域の動向に再び注目が集まった。

グローブのアルベルト・デララザバル最高営業責任者は、ファーウェイの無線機やモデムなどを使って、都市部の家庭やオフィス向けにサービスを提供すると発表した。ファーウェイは以前からフィリピンで事業を展開し、通信会社も関係継続の意向を繰り返し表明しているので、これ自体は驚くには当たらない。

東南アジアが割を食う?

ドゥテルテ大統領率いるフィリピンは、副作用を顧みずに中国と良好な関係を築こうとしている。米政府や自国内から上がる不安の声を一蹴し、一部の国が実施している独自調査などを検討することもなかった。

だが、具体的な事業の進め方も、安全保障リスクへの対処法も詳細は不明なまま。グローブ側は情報漏洩などを防ぐため外部の企業と協力していると言うが、政府や他企業への影響、反対派への対応についても、ほとんど何も分からない。そのため現時点では、フィリピンの決断がどのような結果になるかを判断するのは難しい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、ガリウムやゲルマニウムの対米輸出禁止措置を停

ワールド

米主要空港で数千便が遅延、欠航増加 政府閉鎖の影響

ビジネス

中国10月PPI下落縮小、CPI上昇に転換 デフレ

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 9
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中