最新記事

肥満

肥満だとナイキを着ちゃいけないの?英で論争

Jameela Jamil And More Slam Cruel Comments About Nike's Curvy Mannequin

2019年6月13日(木)17時10分
ケリー・ウィン

ナイキのロンドン旗艦店に登場した肥満マネキンが賛否を呼んでいる NIKE

<ナイキの肥満体型マネキンに対し、「運動できる体型じゃない」「股関節の置換手術が必要になる」など非難ごうごう>

スポーツウェアブランドのナイキが初めて肥満体型のマネキンを取り入れたことで激論が沸き起こっている。ロンドンのオクスフォード・ストリートにあるナイキの旗艦店にこのマネキンが登場すると、ソーシャルメディア上には太っている人を差別するようなコメントが殺到した。だが一方では、そうした否定的な声を退け、ナイキの「ありのままの体型を受け入れる」姿勢を称賛する女性たちもいる。

ネット上で優勢なのは、ナイキの決定とは真逆の意見のようだ。ナイキの大胆で進歩的な決定を称賛する投稿も一部にはいるが、他の人々は肥満体型のマネキンについて、不健康なライフスタイルを促進している、と声高に批判する。

マネキンのような体型の人の体重ではそもそもランニングなどできないと指摘し、肥満体型のマネキン導入はナイキの評判を下げるとまで主張する人もいる。自らも太めのジャーナリスト、ターニャ・ゴールドは英テレグラフ紙への投稿記事の中で、問題のマネキンは「途方もなく巨大だし、脂肪でぶよぶよ。この女性はどう見ても肥満で、格好いいナイキのウェアを着てランニングする状態じゃない」と主張した。「走るなんて無理。それどころか糖尿病目前で、股関節の置換手術も必要になりそうだ」

「偏見に満ちた愚かな意見」

この投稿をInstagramで見る

If anyone tries to tell you that your body size will hold you back, they are absolutely wrong. A few weeks ago someone left me a comment saying 'You are mad if you think you can do ballet'. Feels good proving people wrong, you're only called 'crazy' til you do it -------------- This whole dream of a campaign is a collaboration I worked on with @nike + @veryuk - all hail brands working towards diversity + including plus size women in such a positive way! The campaign focused on the Nike One Leggings which are honestly the most comfortable pair I have EVER worn. I wore them from 9am-8pm, through a ballet/barre session with the incredible @paletacalmquality ,for lunch, to travel home and barely even realised I had them on. Super high waist, comfortable and they really move with your body - no rolling or falling down (thank the Lord) which annoyingly most plus size workout leggings do - but these do not move! Thank you Nike for taking the time to create a ridiculously well made plus collection + for your leaps and bounds in terms of inclusivity. Everything I'm wearing is available on the Very website Ph by @sarahellen_photography @nikewomen @veryuk #onelegging #bodypositive #ballet #barre #barreworkout #blok

Chloe Elliottさん(@chloeincurve_)がシェアした投稿 -

ナイキは2017年にプラスサイズのファッションブロガーであるクロエ・エリオットをキャンペーンモデルとして起用


ゴールドのこの意見は反響を呼び、ソーシャルメディア上で同意する声があがったが、反対意見も多かった。ライター兼モデルのカリー・ソープやブロガーのミーガン・ジェイン・クラブ、女優のジャミーラ・ジャミルをはじめとする複数の女性たちがナイキへの支持を表明。これを受けてほかの女性たちも、マネキンの写真をネットでシェアし、支持を表明した。

ソープはゴールドの記事について、信じられないとコメント。「太った人々はばかにされ、ジムに行って体重を落とせと言われ、さらにはスポーツウェアを着る資格がないとまで言われるなんてはどうかしている」と、彼女はインスタグラムに書き込んだ。「これがどんなに馬鹿げているか分かる? 健康面の配慮などではなくて、完全な偏見だ」

ジャミルも同調し、ツイッターでゴールドとテレグラフ紙を非難した。自社のプラットフォームを「いじめの場」に使った判断について、テレグラフ紙は読者に謝罪すべきだと要求し、こう続けた。「肥満は良くないと言いながら、そうした人々がもっと健康になろうとすると、着るものにまで『こんなに』必死に反対するとは。バカ丸出し」

ナイキは本誌に対し、「全てのアスリートをサポートするのが当社の使命で、今後も多様な消費者の意見を反映するために製品ディスプレイの方法を進化させ続けていく」とコメントした。

またこうも述べた。「当社は日ごろからアスリートたちの声を聞いており、女性たちがスポーツウェアに多様でインクルーシブな製品を望んでいることを承知している」

(翻訳:森美歩)

20190618issue-cover200.jpg
※6月18日号(6月11日発売)は「名門・ジョージタウン大学:世界のエリートが学ぶ至高のリーダー論」特集。「全米最高の教授」の1人、サム・ポトリッキオが説く「勝ち残る指導者」の条件とは? 必読リーダー本16選、ポトリッキオ教授から日本人への提言も。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、核実験開始を再表明 地下実験の可能性否

ワールド

ロシア首相が来月訪中、習主席と会談へ 二国間協力強

ワールド

スーダンで数百人殺害の可能性、国連人権機関が公表

ビジネス

全ての会合が「ライブ」に、12月利下げ確実視せず=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中