最新記事

G20大阪サミット

G20大阪サミット首脳宣言のポイントは?

2019年6月29日(土)21時45分

20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は、自由で無差別な貿易環境の実現に向けた首脳宣言を採択し、閉幕した。写真は握手を交わす各国の首脳ら(2019年 ロイター/Jorge Silva)

20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は29日、自由で無差別な貿易環境の実現に向けた首脳宣言を採択し、閉幕した。首脳宣言の要旨は以下の通り。

・世界経済は足元で安定化の兆しを示し、本年後半及び2020年に向けて緩やかに上向く見通し。

・成長は低位であり続けており、リスクは依然として下方に傾いている。貿易と地政を巡る緊張は増大してきた。

・これらのリスクに対処し続けるとともに、さらなる行動をとる用意がある。

・強固で持続性があり均衡のとれた包摂的な成長を実現するため、下方リスクから守るために全ての政策手段を用いるとのコミットメントを再確認する。

・必要に応じて財政バッファーを再構築し、財政政策は機動的に実施し、成長に配慮したものとすべきである。

・金融政策は引き続き、経済活動を支え、中央銀行のマンデートと整合的な形で物価の安定を確保する。

・グローバルインバランス(経常収支不均衡)は世界金融危機の後、新興国及び開発途上国において減少しており、次第に先進国に集中してきた。

・対外収支を評価するに当たっては、サービス貿易・所得収支を含む経常収支の全ての構成要素に着目する必要性に留意する。

・高齢化を含む人口動態の変化は全てのG20構成国に対して課題と機会をもたらし、こうした変化は財政・金融政策、金融セクター政策、労働市場政策及びその他の構造政策にわたる政策行動を必要とする。

・自由、公平、無差別で透明性があり予測可能な安定した貿易及び投資環境を実現し、市場を開放的に保つよう努力する。

・国際的な貿易及び投資は、成長、生産性、イノベーション、雇用創出及び開発の重要なけん引力である。

・WTO加盟国によって交渉されたルールに整合的な紛争解決制度の機能に関して、行動が必要であることに合意する。

・WTO協定と整合的な二国間及び地域の自由貿易協定の補完的役割を認識する。

・イノベーションは経済成長の重要な原動力であり,持続可能な開発目標への前進及び包摂性向上にも寄与し得る。

・デジタル化及び新興技術の適用の促進を通じ、包摂的で持続可能な、安全で、信頼できる革新的な社会の実現に向けて取り組む。

・データの潜在力を最大限活用するため、国際的な政策討議を促進することを目指す。

・インフラは経済の成長と繁栄の原動力である。共通の戦略的方向性と高い志として「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を承認する。

・クォータを基礎とし、十分な資金基盤を有する国際通貨基金(IMF)を中心としたグローバル金融セーフティネットをさらに強化するとのコミットメントを再確認する。

・第15次クォータ一般見直しを遅くとも2019年の年次総会までに完了することに引き続きコミットしており、最優先事項として迅速に進めることIMFに求める。

・ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントは、持続可能で包摂的な経済成長に不可欠である。

・紛争の予防及び解決において女性を認識することにコミットする。

・エネルギーミックスにおけるあらゆるエネルギー源及び技術の役割、よりクリーンなエネルギーシステムを達成するために国によって異なる道筋が存在することを認識する。

・広範囲のエネルギー関連問題における国際協力の重要性を認識する。

・2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独外相、中国の輸出規制による欧州産業混乱巡る問題解

ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり

ワールド

EU、自動車排出量規制の最新提案公表を1週間延期 

ビジネス

NY外為市場=米ドル上昇、FOMCに注目 円は地震
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中