最新記事

百田尚樹現象

【独占】見城徹「やましいことは一切ない」──『日本国紀』への批判に初言及

2019年5月28日(火)06時20分
石戸 諭(ノンフィクションライター)

HAJIME KIMURA FOR NEWSWEEK JAPAN

<コピペや盗用が指摘される百田尚樹の65万部ベストセラーについて、版元である幻冬舎の見城徹社長が初めて口を開いた>

百田尚樹の『日本国紀』は、65万部のベストセラーとなった一方で、インターネット上のフリー百科事典「ウィキペディア」からのコピペや他文献からの盗用を巡る指摘が後を絶たない。版元の幻冬舎は昨年11月の初版発売から重版を重ねるたびに、公表することなく修正も繰り返している。

5月28日発売のニューズウィーク日本版「百田尚樹現象」特集で、幻冬舎社長・見城徹が『日本国紀』を巡る一連の問題について、初めてインタビューに口を開いた。

インタビューは5月10日、東京・北参道の幻冬舎社内で収録した。なお、小説家の津原泰水が、『日本国紀』を批判したことで、作品を幻冬舎文庫から出版できなくなったと公表するのはこのインタビュー後なので、その点についての質問はない。計20ページに及ぶ「百田尚樹現象」特集のうち、見城へのインタビューの一部を抜粋する。

◇ ◇ ◇

――見城徹の目からみた作家・百田尚樹の評価は?

「百田さんの小説は読みやすいと言われるけど、単純ではない。裏打ちとしてあるのは彼の文章学であり、人間に対する見方、考え方だ。それをエンターテイメントに落とし込んで、かつ人の心に沁みこむように書けるというのは、並の作家ではできない」

――では、『日本国紀』をどのような本として認識しているのか。

「『日本国紀』は百田尚樹という作家の作品であり、百田史観による通史だ。百田尚樹という作家が、日本という国の歴史をこう捉えたということ。これがはるかに大事なんだよ。まさに叙事詩だ。彼は歴史家じゃなくて作家。作家によって、新しい日本の通史が書かれるという興奮のほうが大きい。僕は百田尚樹がどんな政治信条の持ち主でも出しましたよ」

――右派の本が売れているから、ビジネス戦略として『日本国紀』を出したのか。

「そんなことは1ミリも思っていない。僕にはビジネス的に右派が売れているから右派の本を出そうという考えは全くない。右派的な本や雑誌ばかりが売れるのはどうかと思っている。もちろん、売れることは大事だ。売れる本があるから、全く売れないと分かっていても世に必要な本が出せる。僕が元日本赤軍、極左の重信房子の本を何冊も出していることから分かるでしょう。その時は批判なんて来なかった。僕は右でも左でもない。見城という『個体』だよ」

――では、なぜ売れたのか。

「売れている理由は明確でしょ。百田さんの史観と文章によって、歴史はこんなに面白いのか、というのが分かるからだ。特に12章以降の戦後史はこの本のハイライトで面白い」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

南ア「イランとの関係断つ理由ない」、米の圧力に抵抗

ビジネス

ナフサ、現時点で直ちに需給上の問題生じていない=赤

ワールド

イランで6病院が避難、医療体制は対応可能な状態=W

ビジネス

基調的な物価上昇率、2%に向けて緩やかに上昇=植田
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 3
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中