最新記事

米軍

米海軍の潜水艦で女性乗組員の「レイプリスト」、艦長は解任

U.S. Sailors Made ‘Rape List’ on Submarine With Female Crew

2019年5月20日(月)18時45分
デービッド・ブレナン

問題が起きた時のフロリダの乗組員は173人強で、うち女性は32人だった。調査報告書によれば、昨年6月4日に男性水兵の1人が問題のリストを印刷し、翌日、女性下士官に渡して問題を知らせた。

10日後、同じ男性水兵が更新されたリストを印刷し、同じ女性下士官に渡した。この男性水兵はリストについて、艦のコンピューターネットワーク上に保存され、定期的に更新されていたと述べたという。

女性下士官はリストを撮影した画像を男性の上官に提出。この上官はカーチャー艦長に報告を上げるなどしたが、カーチャーからリスト問題の調査にかまけすぎているとして「スローダウン」するよう命じられたという。

カーチャーは海軍の犯罪調査部門の助けも借りたが、艦のコンピューターシステム内でリストのありかを突き止めることができなかった。噂が広がる中、カーチャーはリストの捜索のためにどんな手を打ったか説明もしなければ、噂の拡散を抑えようともしなかった。

「上官たちはリストのことなどとっくに忘れている」

「若手の(女性)水兵たちは、これが誰がの仕業か突き止めようとする努力を指揮官がしなかったことを知って、自分たちの身が安全でないと感じている」と捜査報告書には書かれている。ある女性乗組員は捜査担当官に対し、上官たちは「リストのことなどとっくの昔に忘れてしまった」との見方を語ったという。

リストを手に入れた女性下士官は、艦の男性上官たちでは十分な対応を取らないとだろうと考え、恋人や家族、そしてジョージア州ギングズベイの母港にいる上官にもリストの画像を送った。

ジャブロンは「カーチャー大佐がさらなる対応をすべきだと認識したのは、公式にこの女性下士官から連絡を受けてからだ。つまり、リスト発覚から数週間経ってからだった」と述べ、カーチャーの艦長解任を上申した。

ある海軍幹部はミリタリー・ドットコムに対し、少なくともフロリダの2人の乗組員が免職になったほか、数は明らかになっていないもののリストに関連して複数が懲罰の対象になっていると語っている。

(翻訳:村井裕美)

20190528cover-200.jpg
※5月28日号(5月21日発売)は「ニュースを読み解く哲学超入門」特集。フーコー×監視社会、アーレント×SNS、ヘーゲル×米中対立、J.S.ミル×移民――。AIもビッグデータも解答不能な難問を、あの哲学者ならこう考える。内田樹、萱野稔人、仲正昌樹、清水真木といった気鋭の専門家が執筆。『武器になる哲学』著者、山口周によるブックガイド「ビジネスに効く新『知の古典』」も収録した。


ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ安全保障に欧州主導の平和維持部隊 10カ

ビジネス

米ボストン連銀総裁、FRB利下げ支持も「ぎりぎりの

ビジネス

米NY連銀総裁「FRBは今後の対応態勢整う」、来年

ビジネス

カナダCPI、11月は2.2%上昇で横ばい コアイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中