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Huawei一色に染まった中国メディア──創設者が語った本音

2019年5月22日(水)18時00分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

Q:現在のアメリカの保護主義により出された禁輸令は、世界のサプライチェーンを破壊し市場に混乱を招いているのではないだろうか?アメリカは華為の何を疑っていると思うか?

A:アメリカの政治家が何を考えているのか、私には本当に分からない。たぶん、華為がアメリカを凌駕しそうなので、叩くのではないだろうか。

しかし5Gは原子爆弾ではない。人類に幸せをもたらすものだ。5Gの容量は4Gの20倍で、消費電力は4Gの10分の1。特に水に強いので、古い街並みが多いヨーロッパでは便利だ。8KのハイビジョンTVでも、華為のは100分の1くらい安い。5Gは社会を変えていく。

Q:(アメリカの禁輸令は)国際市場の秩序に混乱を招くか?

A:いや、招かない。なぜならヨーロッパはアメリカの言う通りには動かないからだ。アメリカだって、多くの企業は華為との関係を今までより緊密にしている。

Q:それでもアメリカが半導体の供給を完全に止めたら、顧客へのサービスに支障をきたすのではないか?

A:アメリカが、中国のハイテクがアメリカを超えてしまうことを絶対に阻止しようとする日が来ることを私たちは早くから知っていた。

その闘いを避けるために(私はそういう闘いをしたくなかったので)2000年に入った頃、華為を100億ドルでアメリカの某企業に売ってしまおうとしたことがあった。サインまで漕ぎ着けたのだが、そのとき相手の企業の社長が交代してしまった。そこで売らないことになってしまった(私はそれに反対したが、多数決で売らない方に決まってしまったので逆らえなかった)。

それでも、いずれこういう日(アメリカと闘わなければならない日)が来ることは分かっていたので、実は半導体に関しては準備してある。ただ、山頂で最後の決戦をするためにまみえるのではなく、私は山頂で抱き合って共に人類社会のために貢献したいと思っている。

(筆者注:任正非氏が華為をアメリカ企業に売ってしまおうとしたという事実は大きい。もしアメリカの情報を抜き取って中国政府に渡そうとしていたのだとしたら、アメリカ企業への売却という選択はあり得なかっただろう。筆者にとっては、この取材の中での最大の注目点であり、収穫だ)

Q:それでもアメリカの圧力により、顧客へのサービスが落ちてしまうと思うが。

A:いや、そうは思わない。華為は世界の最先端を行っている。少しは成長速度が緩慢になるかもしれないが、たとえば今年の第1四半期の前年度同期比成長率は39%だった。4月はたしかに25%に落ちたが、大きな影響はない。

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