最新記事

中国

Huawei一色に染まった中国メディア──創設者が語った本音

2019年5月22日(水)18時00分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

以下、記者(Q)と任正非氏(A)との、主たるQ&Aを抜き出して列挙する。長い会話は別の言葉に置き換えて表現する場合もある。

Q:アメリカは昨日、華為に対して90日間の猶予を与える禁輸延期令を出したが、それをどう思うか?

A:90日など、別に大きな意義はない。私たちは早くから準備してきた。重要なのは自分のやるべきことをしっかりやるだけだ。ただ、アメリカの企業にはとても感謝している。30年間、共に成長してきた。

華為の顧問企業の多くはIBMなどのアメリカ企業だ。アメリカの多くの部品工場も、ずっと華為を助けてきてくれた。どんなに感謝しても感謝しきれない。

昨夜も夜中に電話してきて、華為のためにサプライチェーンの部品を沢山貯めてあるので、それを緊急に送ると言ってくれた。その友情に涙が出る。今日も、アメリカの多くの関連企業はアメリカ政府に禁輸をするなという申請をしているようだ。

中国のメディアは、あまりアメリカのことを罵倒しないようにしてほしい。アメリカ企業と華為は運命共同体なのだ。われわれは皆、市場経済の主体である。アメリカ政府は、企業間のこの力を低く見積もり過ぎている。

少なくとも5Gの領域では、アメリカ政府の禁輸令の影響を受けることはない。影響を受けないだけでなく、他の企業は、2,3年では華為に追いつかないという自信がある。

Q:5月18日に日本のメディアの集団取材を受けたときに、「華為はアメリカの半導体を必要としない」と回答しているが、これに関してどう思っているのか?

A:いや、華為は永遠にアメリカの半導体を必要とする。華為は決してアメリカを排除したりしない。アメリカ企業と共に成長したいと思っている。ただ、実は最先端の半導体は、全て華為自身で製造できる。

しかし、平和な時期には(アメリカが攻撃してこない状態なら)、半分はアメリカから購入し、半分は華為で作っていた。自分の会社で製造する方が明らかにコストが安いが、世界で孤立してはいけないから、わざとアメリカから購入していた。だから今も、アメリカ企業がワシントン政府に申請を出して輸出許可を受けたら、私たちはやはりアメリカ企業から購入する。

こうして世界の中に融け込んでいき、共に発展するようにしなければならない。日本のメディアは原稿を整理するときに、少し偏見(偏激)を持ったのではないだろうか。華為はアメリカと同じレベルの半導体を製造することができる。しかしそれは、必ずしもアメリカから買わないということではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-〔アングル〕ドル高に不足

ビジネス

ノボノルディスク、不可欠でない職種で採用凍結 競争

ワールド

ウクライナ南部ガス施設に攻撃、冬に向けロシアがエネ

ワールド

習主席、チベット訪問 就任後2度目 記念行事出席へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 7
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 8
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 9
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 10
    夏の終わりに襲い掛かる「8月病」...心理学のプロが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中