最新記事

ブレグジット

メイの有力後継候補ジョンソンはヤバい?「合意なき離脱」率25%に

Donald Trump’s Friend Boris Johnson Set to Become U.K. Prime Minister Imminently

2019年5月24日(金)16時30分
シェーン・クロウチャー

EU側は、メイの離脱案が残留以外では最善の策だと考えている。EU加盟国ではないが緊密な同盟関係にあるノルウェーやスイスと同じような関係を保つ、いわゆる「ソフトブレグジット」だ。

だがイギリスの残留派は、メイの離脱案は2016年の国民投票で決定したブレグジットよりもさらに踏み込んだ「ハードブレグジット」だと主張する。

5月22日には、メイ政権幹部のアンドレア・レッドサム下院院内総務が、メイの対応を批判して辞任した。レッドサムは、メイの離脱案ではイギリスは完全には主権を回復できず、EUに縛られたままになってしまう、と言ったという。

政権幹部の辞任はまだ続くかもしれない。5月21日にメイが発表した離脱案の修正案には突然「2度目の国民投票」という項目が表れ、これに対して閣僚が激怒、メイは窮地に陥った。議会を懐柔するために追加した項目が裏目に出てしまったのだ。

保守党議員からメイに対する辞任の圧力も高まっている。多くの保守党議員は熱心なブレグジット推進派で、メイの離脱案は「手ぬるい」と反対している。ブレグジットを実現するためには、経済的、政治的リスクを伴ったとしても「合意なき離脱」を進めるべきと考えるジョンソンのような議員もいる。

メイが辞任すれば、野党からは総選挙を前倒しで実施するよう相当な圧力がかかるだろう。総選挙が実施されれば、ブレグジットの実現はさらに遅れるか、または完全に頓挫する可能性もある。

意見が割れて誰も譲歩しようとしないがために、イギリスにとってのまっとうな出口はどんどん狭まっているようだ。

<参考記事>英国民はそろそろEU離脱が「糞を磨く」のと同じことに気づくべきだ 強硬離脱派の大物閣僚2人辞任

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルおおむね下落、米景気懸念とFRB

ビジネス

ステーブルコイン普及で自然利子率低下、政策金利に下

ビジネス

米国株式市場=ナスダック下落、与野党協議進展の報で

ビジネス

政策不確実性が最大の懸念、中銀独立やデータ欠如にも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中