最新記事

日本政治

統一地方選・前半戦は自民ペース 高まる衆参W選の思惑

2019年4月8日(月)10時39分

今年7月の参院選の前哨戦とされた統一地方選は、唯一の与野党対決型だった北海道知事選で与党系候補が快勝したほか、大阪府知事選と大阪市長選では大阪維新の会がともに勝利した。大阪で昨年10月撮影(2019年 ロイター/Thomas White)

今年7月の参院選の前哨戦とされた統一地方選は、唯一の与野党対決型だった北海道知事選で与党系候補が快勝したほか、大阪府知事選と大阪市長選では大阪維新の会がともに勝利した。安倍晋三政権にとって北海道での勝利は、夏の参院選に向け弾みがつく。

さらに、衆院選準備が大幅に遅れている野党陣営の状況をにらみ、政府・与党内で衆参同日選への思惑が高まりそうだ。

また、安倍政権が進める憲法改正に「前向き」な維新の会が大阪ダブル選で勝利したことで、安倍首相の周辺で、憲法改正の実現に向け態勢を立て直す動きが出てくることも予想される。

統一地方選の前半戦となる11道府県知事選と6政令市長選、41道府議選、17政令市議選は、7日投開票された。

このうち福井、島根、徳島、福岡の4県知事選は保守分裂となり、与党側は「どっちが勝っても政権運営に関係ない」(与党幹部)面もあった。

このため注目されたのが北海道知事選。日欧経済連携協定(EPA)による農産品輸入拡大など与党に不利な材料があったものの、序盤から与党推薦で前夕張市長の鈴木直道氏がリードし、野党が推薦する石川知裕氏は追い上げられなかった。

野党陣営からは「経済重視を前面に出した鈴木氏に対し、脱原発などを掲げたが、十分浸透し切れなかった」(関係者)との声も聞かれ、野党共闘の限界を示した。

また、「大阪都構想」の是非が争点だった大阪ダブル選では、大阪維新の会がどちらかで落選すれば、維新の会の存亡にかかわるとの声も永田町で聞かれた。

このため自民党大阪府連の動きとは別に、憲法改正で日本維新の会との連携を模索している首相官邸にとっても注目の選挙だった。

事前の選挙予測では、一時、大阪市長選で接戦が伝えられていたが、維新の会が「連勝」したことは、安倍政権にとって「朗報」と言えそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米が共同飛行訓練、10日に日本海で 米軍のB52

ワールド

〔アングル〕長期金利2%接近、日銀は機動対応に距離

ワールド

ウクライナ、モスクワ州など大規模ドローン攻撃 ロシ

ワールド

トランプ氏、対ロ大規模投資と欧州へのエネ供給回復計
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中