最新記事

日中関係

中国に懐柔された二階幹事長──「一帯一路」に呑みこまれる日本

2019年4月26日(金)17時00分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

コミンテルンの洗脳手法を継承する中国

昨年1月17日付のコラム<「チャイナ・イニシアチブ」に巻き込まれている日本>に書いたように、中国は各国の政党、特に政権与党の中の、これはと思しき「特定の人物」にターゲットを絞って取り込むという戦略に出ている。

これはかつてのソ連のスターリンが世界を赤化することを目的として「コミンテルンのスパイ」を各国の政権の中枢に送り込んだ構図に似ている。

日本ではゾルゲ事件が起き、アメリカではルーズベルト大統領の政権中枢にコミンテルンのスパイが潜り込んでアメリカ政治を一時動かしていた。

この現代版が、習近平が唱えた「チャイナ・イニシアチブ」だ。

現在の日本に関しては、その中心人物として中国が動かしているのが二階幹事長である。

日本政治は既に退路のない危険領域に入り込み始めたので、やむを得ず、実名で論考させていただいた。日本の国益を守るために警鐘を鳴らし続けたい。


余談:以下は全くの余談で、クイズのようなものである。

CCTVからはカットされているが、TBSでは放映されている、「ある人物の、ある動作」がある。お気づきだろうか?もし以下の文章を読む前に気付かれた方がおられたら、相当の中国通だ。

二階氏の左2人目(向かった右2人目)に座っている金田勝年元法務大臣(2016年8月~2017年8月)に注目していただきたい。彼はTBSの映像では、二階氏が話しているときに親指を鼻に当てて鼻をすする動作をした。それがTBSでは、「気にせずに(?)」(普通のこととして?)映し出されている。

しかしCCTVにはない。

なぜか?

それは土着の中国人でないと分からない感覚かもしれないが、この動作は昔の中国の習慣であった「手鼻をかむとき」の動作だからだ。紙が貴重だったので親指で片方の鼻を押さえ、勢いよく地面めがけて鼻をかみ、地面に飛ばす。これは相手に唾を吐きかけるのと同じように、相手をバカにする動作でもあった。今では紙が豊富にあるし、民度も当時よりはマシになったので若い人は知らないかもしれないが、一定年齢の人なら誰でも知っている風習だ。だからCCTVは、その場面をカットしたものと推測される。周りに中国の風習を教える外交官はいなかったのか、いたとしても、予測できなかったのか。何れにしても、「あーあ......」と思わせる場面だった。

endo2025.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減

ビジネス

米KKRの1─3月期、20%増益 手数料収入が堅調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中