最新記事

中国

Huaweiめぐり英中接近か──背後には華人富豪・李嘉誠

2019年2月22日(金)12時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

華人界の大富豪・李嘉誠氏がHuaweiを応援し始めた Athit Perawongmetha-REUTERS

スパイにうるさいイギリスがHuaweiの5Gを採用する模様だ。EU離脱で落ち込むイギリスが中国と組めば、ヨーロッパ市場が動き、ファイブ・アイズ構図が崩壊する。背後には李嘉誠氏のHuawei応援がある。

イギリスがHuaweiの5G採用を検討

アメリカが主導してHuawei製品排除を世界に呼びかける中、イギリスが2月17日、Huaweiの次世代通信システム5G参入に関して「リスクは制御可能だ」と表明した。

昨年12月の初旬には、イギリスは同盟国であるアメリカの呼び掛けに呼応してHuawei製品を排除することに「基本的に(あるいは一部)」賛同していたのだが、12月末に入ると、イギリスの通信大手3社がHuaweiの5Gシステムを引き続き使用すると発表し、最初の判断を翻し始めた。

イギリスがHuawei製品排除に関して、いつも「基本的に(あるいは一部)」賛同という条件を設けながらアメリカに回答していたのは、イギリスの通信会社Three UKが2018年2月にHuaweiと契約を結んでおり、イギリス各地に5Gネットワーク構築を準備していたからだ。2019年には運営を開始する態勢に入っていた。

この状況の中で、イギリス大手の固定電話事業者およびインターネット・プロバイダーであるBT(元British Telecom)傘下のEE(Everything Everywhere)、イギリス大手携帯会社のO2、イギリスに本社を置く世界最大の多国籍携帯電話事業会社であるボーダフォンの3社がHuawei設備のテストを開始していたのである。

だから、アメリカに同調すると言いながらも、どうも歯切れが悪かった。

それが今年2月17日に入って、複数のイギリスのメディアが一斉に「Huawei製品を使うことによるリスクは制御可能であると英情報当局が結論づけた」と報道したのだ。

つまりは、「イギリスはHuawei設備を導入し、Huawei製品を使いますよ」と表明したのに等しい。

背景には何があったのか?

背後には華人最強の大富豪・李嘉誠氏

外部から見れば、イギリスはEU離脱で混迷しており、経済的にも破たん状況に追い込まれそうなので、中国がチャイナ・マネーでもつかませて籠絡させたのだろうと推測したくなる。困窮しているイギリスと、Huawei問題で追い詰められた中国が手を握ったと解釈すれば、「なるほど」と合点がいく。もっともなことだ。

ところが真相は別にあり、実は背後には、華人最強の大富豪である李嘉誠氏が動いていたのである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中