最新記事

インドネシア

2032年五輪、アジア大会成功させたインドネシアが正式立候補  共同開催目指す韓国=北朝鮮らと誘致合戦へ

2019年2月19日(火)21時15分
大塚智彦(PanAsiaNews)

インドネシアはアジア大会の成功を足がかりとして2032年の夏期オリンピック開催に名乗りを上げた。写真は2018年のアジア大会開会式  Beawiharta Beawiharta - REUTERS

<チケットの抽選申し込み開始が迫ってきた東京オリンピック。だが世界ではすでに2032年に向けた動きが出始めている>

インドネシアが2032年のオリンピック開催への正式な立候補の届け出をスイス・ローザンヌにある国際オリンピック委員会(IOC)に提出したことが分かった。

地元紙「コンパス」の電子版などによると、2月17日にスイス・ベルンのインドネシア大使が、ジョコ・ウィドド大統領からの立候補表明の書簡をIOCのトーマス・バッハ会長宛に提出したという。これでインドネシアは2032年開催の夏のオリンピックに初めて正式に立候補表明したことになり、東南アジア地域での初の開催を目指して今後誘致合戦に本格的に参入することになる。

2020年の東京オリンピックの次となる2024年のオリンピックはフランスのパリ、2028年は米国ロスアンゼルス開催が決まっている。2032年オリンピックにはこれまでに韓国と北朝鮮が共同開催を目指しているほか、マレーシアとシンガポールも共同での開催を模索中といわれている。そのほかインド、アフリカ諸国もそれぞれの地域での初の開催を視野に検討中とされ、開催地を巡るライバルは多くなりそうだ。

IOCでは2032年の開催地については遅くとも2024年までには選考したいとしており、今後インドネシアは早急に「オリンピック誘致の構想や計画に関する青写真」の作成に入りたいとしている。

アジア大会の成功を契機として

インドネシアは2018年8月からアジア大会、アジアパラリンピック大会を首都ジャカルタとスマトラ島のパレンバンで開催した。

当初はベトナムでの開催が決定していたが、ベトナムが財政事情から開催地を2014年に返上したため、急きょインドネシア開催が決まった経緯がある。

こうしてタナボタ式に開催国になったアジア大会だったが、各競技でインドネシア選手の活躍が光り、最終的に金メダル31個、銀メダル24個、銅メダル43個の合計98個のメダルを獲得。総合メダル獲得数で中国、日本、韓国に次いで4位、東南アジアでトップという過去最高の成績を収めた。

これは大会前にジョコ・ウィドド大統領が選手を一堂に集めて檄を飛ばした際の「最低でも金メダル16個、メダル獲得の総合で上位10位以内を目標にして奮闘してほしい」という目標を大幅に上回る好成績で、選手の奮闘ぶりが目覚ましい大会だった。

競技での成績に加えて大会運営でも参加国からの評価は高く、こうしたアジア大会の成功がオリンピック開催への大きなステップとなった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア海軍副司令官が死亡、クルスク州でウクライナの

ワールド

インドネシア中銀、追加利下げ実施へ 景気支援=総裁

ビジネス

午前の日経平均は小幅続伸、米株高でも上値追い限定 

ビジネス

テスラ、6月の英販売台数は前年比12%増=調査
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中