最新記事

災害

タイ洞窟からの救出時、少年たちは薬で眠らされ、両手は縛られていた

Thai Boys Drugged and Cuffed During Rescue, Book Claims

2019年1月17日(木)13時40分
カラム・パトン

救出から3カ月後の2018年10月、アルゼンチン・ブエノスアイレスのユース五輪に招待された少年たち Thomas Lovelock/REUTERS

<世紀の救出劇から半年、豪テレビの東南アジア特派員が「奇跡」の実態を明かした>

タイ北部のチェンライ県で大雨で増水した洞窟に閉じ込められた12人のサッカー少年たちは、救出時に大量の薬物を投与され、両手を後ろ手に縛られていた。

昨年7月にタムルアン洞窟から少年12人とコーチ1人が助け出された救出劇は、世界中の注目を集めた。あれから半年が経ち、当時の少年たちは約3週間ぶりに救出が始まるとき、直前に鎮静剤を投与され、潜水中にパニックに陥っても身動きが取れないよう両手を縛られた状態だったことが明らかになった。

オーストラリア放送協会(ABC)の東南アジア特派員、リアム・コクランが新著「The Cave(洞窟)」の中で、これまで知られていなかった救出劇の真相を暴露した。

「(タイ当局は)親たちを落ち着かせるために、少年たちは脱出のための潜水訓練を受けていると説明した。メディアも、救出時には少年たちの体に酸素を送る管を取り付け、前後にダイバーが付いて自力で泳いで脱出することになる、と報じていた。

実際の作戦は?

だが、実際は少し違った。「救出の唯一の道は、少年たちに薬を投与して意識をなくし、顔面にシリコンシールで酸素マスクを装着させた状態で、経験豊富な洞窟ダイバーに搬送させる、という方法だった」と、コクランは説明する。

多国籍ダイバーチームに最初に救出された少年が薬物を投与されたときの状況はこうだ。14歳の少年は鎮静剤を飲まされた後、意識がなくなるまで鎮静作用のある「ケタミン」を両足に何度も注射された。

オーストラリアのテレビ局9newsによれば、少年はその後ダイビングスーツを着せられ、身体にエアタンクを巻かれ、顔面にマスクを付けられた。両手は後ろ手にしてケーブルで縛れた。残りの少年たちに対しても同じ手順を繰り返したという。

英BBCによれば、少年たちの所属するサッカーチーム「ワイルド・ボアーズ」の救出劇から半年以内で、現場の洞窟はタイで最も人気の観光スポットになった。

救助活動中には元タイ海軍特殊部隊員のダイバー、サマン・グナンが意識を失い、死亡した。現在は彼の銅像が洞窟前に建っている。

(翻訳:河原里香)

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、独立記念日に記念碑破壊批判へ 景勝地で

ワールド

アングル:豪経済の長期繁栄に終止符、構造転換がコロ

ビジネス

焦点:「バイデン大統領」に備える投資家、ドル売りに

ワールド

NFLレッドスキンズ、チーム名変更検討へ 人種差別

MAGAZINE

特集:Black Lives Matter

2020-7・ 7号(6/30発売)

今回の黒人差別反対運動はいつもとは違う──「人権軽視大国」アメリカが変わる日

人気ランキング

  • 1

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 2

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪雨で大規模水害、そして...

  • 3

    東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小池知事が緊急会見「現在は感染拡大要警戒」

  • 4

    孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようや…

  • 5

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 6

    スウェーデンの悪夢はパンデミック以前から始まって…

  • 7

    英首相ジョンソン、香港市民の英市民権取得を確約 中…

  • 8

    韓国「炭酸カリウム」を不当廉売? 経産省が調査開…

  • 9

    北京で6月にクラスター発生したコロナウイルス、東南…

  • 10

    韓国、環境対策で包装材削減に向けた「セット販売禁止…

  • 1

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 2

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪雨で大規模水害、そして...

  • 3

    街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...

  • 4

    東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小…

  • 5

    ポスト安倍レースで石破氏に勢い 二階幹事長が支持…

  • 6

    自殺かリンチか、差別に怒るアメリカで木に吊るされ…

  • 7

    孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようや…

  • 8

    宇宙に関する「最も恐ろしいこと」は何? 米投稿サ…

  • 9

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 10

    「この貞淑な花嫁は......男だ」 イスラムの教え強い…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月