最新記事

中国

中国の世界制覇を阻止するために日本がやるべきこと――Huawei事件を巡って

2018年12月14日(金)15時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

Eric Gaillard-REUTERS

中国は国家戦略「中国製造2025」によりアメリカを凌駕して世界制覇を狙っている。それを阻止するために日本は何を成すべきか。事実に基づかない推測の拡散も、中途半端な追及も、結果的には中国に利する。

追い込まれて強くなってきた中国

12月11日のコラム「習近平の狙いは月面軍事基地――世界で初めて月の裏側」に書いたように、中国が宇宙開発でアメリカを追い抜こうとしている。

それを可能ならしめたのは、西側諸国が運営する国際宇宙ステーションから中国が除外されていたからだ。中国は復讐心を燃やした。

中国が核大国になってしまったのも、朝鮮戦争の後半、アメリカが「中国に原爆を落とす」ことを示唆したために、日本への原爆投下でその威力と恐ろしさを思い知った毛沢東が、恐怖に駆られて何が何でもと、原爆開発に執念を燃やし成功させてしまった。

このように、「中国に対して、いかなる圧力を、どのような形で加えるか」によって、中国が逆に成長してしまうケースがあることを肝に銘じなければならない。その因果関係に基づいて、長期的で緻密な分析が不可欠となる。

言論弾圧をする国家が、人類を、そして宇宙までをも制覇したら、どれほど恐ろしいことが起きるか。それを阻止するために何ができるかを考えてみたい。

典型的な懐疑的報道

最近、某チャイナ・ウォッチャーが、以下のように書いているのを発見した。

――ファーウェイの発展と解放軍や国家安全部の関与は疑う余地がない。ファーウェイは民間企業ではあるが、解放軍から無償で技術提供を受けることで発展、資金も解放軍筋から流れているとみられている。また任正非自身、ファーウェイを創立する前に国家安全部で任務に就いていた経歴があったといわれている。ファーウェイと解放軍は長期合作プロジェクトをいくつも調印しており、中国の軍事技術開発を目的に創られた企業といっても過言ではない。

このように書けば、もっともらしい。しかし、ここにはいくつもの虚偽的要素が入っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、米ハイテク株安を嫌気 5

ワールド

NATO事務総長の戦争準備発言は「無責任」、ロシア

ワールド

米H─1Bビザの10万ドル申請料、差し止めへ20州

ビジネス

中国、消費喚起へビジネス・金融システムの連携強化求
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中