最新記事

「魚の脂に含まれる成分が心臓発作や脳卒中の予防に役立つ」との研究結果が相次ぐ

2018年11月26日(月)18時10分
松岡由希子

kohei_hara-iStock

<魚油由来の薬剤が心臓発作や脳卒中、その他の心血管疾患の予防に効果的であることを示す研究結果が、最近、相次いで発表された>

長年にわたって米・魚を中心とした食生活を営んできた日本は、世界有数の"魚食大国"だ。2007年3月には、神戸大学の横山光宏教授らの研究チームが日本人の高コレステロール血症患者を対象とする研究結果を発表し、「青魚の脂に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)は、高コレステロール血症患者にとって、突然心臓死や心筋梗塞などの冠動脈イベントの予防に役立つ」ことを明らかにした。

米国では、成人の55%にあたる4300万人に、悪玉コレステロール(LDL)を低下させる「スタイン」などの高コレステロール血症治療薬が投与されており、食を中心とする生活習慣の改善も課題となっている。このようななか、魚油由来の薬剤が心臓発作や脳卒中、その他の心血管疾患の予防に効果的であることを示す研究結果が、最近、相次いで発表された。

「週に2回以上、食事に魚を取り入れることを推奨する」

米ハーバード大学医学大学院のディーパック・バット教授を中心とする研究プロジェクト「REDUCE-IT」は、「スタイン」を服用している患者8179名を対象に、米医薬品メーカーのアマリンが開発した高純度EPA製剤「バシーバ」が心血管疾患リスクの軽減に効果があるかどうか検証した。その結果、1日2回、2グラムの「バシーバ」を服用した患者は、そっくりの偽薬を服用した患者よりも、中性脂肪(トリグリセリド)の値が減少し、心血管疾患リスクが低下し、心血管疾患による死亡も少なかった。

米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のジョアン・マンソン博士を中心とする研究プロジェクト「VITAL3」では、50歳以上の男女2万5871名を平均5.3年にわたって追跡調査し、英医薬品メーカーのグラクソ・スミスクライン(GSK)が開発したオメガ-3脂肪酸製剤「ロバザ」の効果を検証した。その結果、「ロバザ」を服用した人は、そっくりの偽薬を服用した人に比べて、心臓発作のリスクが28%軽減された。この効果は、とりわけ、週に摂取する魚が1.5人分未満の人により顕著に現れ、心臓発作のリスクが4割も軽減した。

マンソン博士は、この結果について「オメガ-3脂肪酸に心臓によい効果があることを示すものだ」とし、「週に2回以上、食事に魚を取り入れることを推奨する」と説いている。

日本では、国民1人あたりの魚介類の摂取量が2001年をピークに減少傾向にあるという。米国でのこれらの研究結果をふまえ、古来からの魚食を改めて見直すべきなのかもしれない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏 、 ホルムズ海峡に多くの国が軍艦派遣と

ワールド

EXCLUSIVE-トランプ政権、イラン停戦交渉を

ワールド

アングル:トランプ氏が「迫害」主張の南ア、暮らしや

ビジネス

最近の急速なウォン安・円安、深刻な懸念共有=日韓対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 3
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈祷」を中国がミーム化...パロディ動画が拡散中
  • 4
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 5
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 8
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 9
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中