最新記事

北朝鮮

制裁下でも「古着」入荷......北朝鮮で人気の「日本製品ベスト3」

2018年11月28日(水)11時45分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載

今年3月、商業施設を視察する金正恩党委員長 KCNA-REUTERS

<日本製のダウンジャケット、自動車、血圧計などは、中古品でも中国製より質がいいと人気が高い>

かつて、北朝鮮には「最高級品は日本製」という時代があった。新潟港と東海岸の元山(ウォンサン)港を行き来していた「万景峰(マンギョンボン)92」号が、日本から様々な品物をせっせと運んでいたのだ。日本政府が2006年に対北朝鮮のすべての品目を輸出入を禁じる独自制裁を導入して以降、北朝鮮には日本製品があまり入らなくなったが、メイド・イン・ジャパンの人気は依然、根強い。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた、市場で最近人気の日本製品は、ダウンジャケットだ。新品のものはかなり値が張るが、古着なら9万北朝鮮ウォン(約1170円)で買える。

中国製のダウンジャケットも多数入荷するが、新品は決して安くない。一方で日本製は、古着であっても新品同様で、コストパフォーマンスに優れているとして、入荷すれば季節を問わずすぐに売れてしまうという。

参考記事:美女と「日本製の部屋着」に狂わされた、ある北朝鮮警察官の選択

制裁発動後は日本から直輸入されることは少なくなったが、中国経由で古着が入ってくる。また、北朝鮮に住む元在日朝鮮人の元を訪れる日本在住の家族がお土産として持ち込んだものも市中に出回るという。

ちなみに、中国で最も有名な日本のブランドと言えばユニクロだが、遼寧省だけで20店舗あり、うち1店舗は北朝鮮との国境に面した丹東にある。お隣の吉林省にも延辺朝鮮族自治州延吉を含め8店舗がある。詳細は不明だが、これら店舗で買い求められた製品も北朝鮮に持ち込まれているものと思われる。

それ以外で人気の日本製品といえば、中古自転車がある。値段の相場は20万北朝鮮ウォン(約2600円)。また、日本製での血圧計も人気だ。新品は1台120万北朝鮮ウォン(約1万5600円)、中古でもその半額と高価だが、中国製より質がいいとして飛ぶように売れるのだそうだ。

ソニーや東芝製のブラウン管テレビも出回っているという。これらは、富裕層が液晶テレビに買い換える際に売り払ったものだ。ちなみに、北朝鮮製の「松」ブランドの65インチ液晶テレビは1250ドル(約14万2000円)で売られている。

若者の間で人気がある日本製品はバッグだ。韓流ドラマ、映画を見るのに欠かせないノートテル(携帯用メディアプレイヤー)を入れるのにちょうどいいのだそうだ。それ以外にもインスタントカメラ、ミシンなどが好まれる。最近は写真を自由に撮れるスマートフォンを使う人が多いが、その場で写真の現像ができるインスタントカメラを買い求める人もいる。

情勢や時期によって多少の変化はあるが、日本製品は厳禁されている韓国製品とは異なり、北朝鮮国内に一度持ち込まれれればさほど厳しく取り締まられないというメリットもある。

参考記事:北朝鮮市場 ついに「日本製」も取り締まりの対象に

[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。

※当記事は「デイリーNKジャパン」からの転載記事です。
dailynklogo150.jpg

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

失業給付増額、職探し抑止の痕跡なし=サンフランシス

ワールド

原油先物2%超上昇、石油在庫減少で

ワールド

定期歯科検診先送りを、コロナ市内感染の発生地域で=

ビジネス

トランプ米大統領、選挙後の国防長官解任巡り内密に協

MAGAZINE

特集:人生を変えた55冊

2020-8・11号(8/ 4発売)

コロナ自粛の夏休みは読書で自分を高めるチャンス──世界と日本の著名人が教える「価値観を揺さぶられた本

※次号は8/18(火)発売となります。

人気ランキング

  • 1

    韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる

  • 2

    李登輝前総統の逝去報道──日韓の温度差

  • 3

    バイデン陣営はこれで「ターボ全開」? 副大統領候補ハリス指名の意味

  • 4

    アメリカ北東部でコロナ感染が沈静化しているのはな…

  • 5

    新型コロナワクチンが開発されても、米国の3人に1人…

  • 6

    『ゴースト・オブ・ツシマ』でサムライ映画の世界を…

  • 7

    中国、輸入冷凍食品の包装に新型コロナウイルス 一…

  • 8

    トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

  • 9

    スウェーデンは本当に「集団免疫」を獲得したのか …

  • 10

    アメリカは長崎に2つ目の原爆を落とす必要があったの…

  • 1

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 2

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 3

    トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

  • 4

    『レオン』が描いた少女の性と「男性目線」

  • 5

    陽性者急増、名古屋の医師が懸念する「市中感染」の…

  • 6

    韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪…

  • 7

    李登輝前総統の逝去報道──日韓の温度差

  • 8

    日本人の「集団主義」「同調圧力」には良い面も悪い…

  • 9

    アメリカ北東部でコロナ感染が沈静化しているのはな…

  • 10

    【レバノン大爆発】日頃の戦争を上回る最大の悲劇に…

  • 1

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 2

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 3

    中国から米国に「謎の種」が送りつけられている......当局は「植えないで」と呼びかけ

  • 4

    韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット …

  • 5

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 6

    宇宙観測史上、最も近くで撮影された「驚異の」太陽…

  • 7

    アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階…

  • 8

    戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路

  • 9

    中国のスーパースプレッダー、エレベーターに一度乗…

  • 10

    【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスク…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月