最新記事

移民

中米の移民集団はいつアメリカに到達するのか トランプは軍隊で入国阻止と

When Will Migrant Caravan Reach U.S. Border?

2018年10月24日(水)16時20分
シャンタル・ダシルバ

ホンジュラスから移民たちがめざすテキサス州の国境の町マッカレンまでは徒歩で501時間のルート Google Maps/SIO/NOAA/U.S. Navy/NGA/GEBCO/Landsat/Copernicus/Data LDEO-Columbia/NSF/INEGI

「帰れ!」というドナルド・トランプ米大統領の再三の罵声をよそに、中米から移民の大集団(キャラバン)が、アメリカ国境めざして北上中だ。

国連の推定によれば、現在その数は約7200人。主にホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドルの3カ国の出身者が、アメリカへの亡命を夢見て旅を続けている。

キャラバンは、10月13日にホンジュラス北西部のサン・ペドロ・スーラを出発、グアテマラを通り抜けて、国境を超えてメキシコのチアパス州タパチュラとウイストラにたどりついた。だが一番近いアメリカ国境の町テキサス州マッカレンとは、まだ約1800キロも離れている。

キャラバンがアメリカ国境に到着するまでどれほど時間がかかるかは、わからない。

グーグル・マップによると、サン・ペドロ・スーラからマッカレンの国境検問所にいたる直行ルートは、徒歩で約501時間。ということは、1日12時間歩くと、アメリカ国境まで約42日かかる計算だ。

もちろん、全員が徒歩で旅しているわけではない。一部の参加者は、旅の途中で他の交通手段も使っている。

もし目的地を変更し、今年4月にアメリカに押し寄せた中米移民のキャラバンのように、メキシコのティファナとアメリカのサンディエゴ間の国境をめざすなら、移動距離は二倍以上になる。

webw181024-caravan02.jpg
トラックをヒッチハイクして高速道路を突っ走る中米の移民たち(18年10月22日) Ueslei Marcelino-REUTERS


 命がけの危険な旅

キャラバンが北に進むにつれ、参加者は増え、当初の150人あまりから、現在は7000人を超えた。だが今年4月のキャラバンの場合、1200人以上が参加していたが、そのうちカリフォルニア州の国境にたどり着いたのは、200人程度だった。

ホンジュラスからアメリカへの旅は困難で、危険がいっぱいだ。移住希望者たちは限られた荷物のみで猛暑のなか、長い距離を歩かなくてはならない。

国際連合難民高等弁務官事務所のエイドリアン・エドワーズ報道官は23日にジュネーブで、同機関が「人道的状況」を懸念していると語り、「キャラバンが足を踏み入れる可能性のある地域での誘拐や安全上のリスク」について注意を喚起した。

地元メディアの報道によると、キャラバンに参加していたホンジュラス出身の男性が22日に、ピックアップトラックから転落し、轢かれて死亡した。

21日の朝には、グアテマラ人男性5人と女性1人が乗っていた車が数回横転し、後に全員がチアパスで死亡した。

AP通信によると、「このような状況下では、移民に対して国外退去や本国送還を決定する前に、亡命申請の機会を与え、国際的な保護が必要かどうかを適切に評価することが重要だ」と、エドワーズは警告した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EUの炭素国境調整措置、自動車部品や冷蔵庫などに拡

ビジネス

EU、自動車業界の圧力でエンジン車禁止を緩和へ

ワールド

中国、EU産豚肉関税を引き下げ 1年半の調査期間経

ビジネス

英失業率、8─10月は5.1%へ上昇 賃金の伸び鈍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 10
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中